キャンパス・クルセード・フォー・クライスト

キャンパス・クルセード・フォー・クライスト（Campus Crusade for Christ）は、1951年にアメリカのUCLA（カリフォルニア大学ロサンゼルス校）で、ビル・ブライトによって設立されたプロテスタント系のキリスト教宣教団体です。設立以来、その活動範囲を広げ、現在は世界190カ国を超える国々で宣教活動を行っています。現在の総裁はスティーブ・ダグラス氏で、国際本部はアメリカ合衆国フロリダ州オーランドに置かれています。

日本における活動拠点である日本支部は、埼玉県所沢市にあります。日本福音同盟の協力会員として、他のキリスト教団体とも連携しながら活動を展開しています。日本CCCとして特に力を入れているのは、主に大学生を対象とした伝道活動です。全国各地の大学キャンパスを中心に、「救霊」「育成」「派遣」を活動の三本柱として掲げ、新しい信者の誕生、信仰の成長のサポート、そして伝道者やリーダーとして送り出す働きを行っています。日本CCCは、Student Impactという通称でも知られています。

彼らが福音を伝える際に広く用いているツールの一つに、『四つの法則』や『Knowing God Personally』といった小冊子があります。これらの小冊子を通して、聖書が教える神の深い愛と、人間の罪に対する赦しというメッセージを分かりやすく伝えています。

活動の根幹をなす基本的な考え方、すなわち彼らが信じ伝える中心的な教義は、以下の通りです。

神は宇宙を創造し、私たち人間を深く愛しておられます。
しかし、人間には罪があり、その罪が神との間に隔たりを生じさせています。この隔たりのために、私たちは神を知ることや神との生きた関係を体験することができなくなっています。
人間の罪の問題に対する神が用意された唯一の解決策が、イエス・キリストです。イエス・キリストを通してのみ、人は神の愛を知り、神との生きた関係を体験することが可能となります。
誰であっても、イエス・キリストを個人的な救い主として心に受け入れるならば、神の愛を真に知り、体験することができるようになります。

彼らは、人が救われるのは、神の言葉である聖書への信頼、すなわち「信仰」によってのみであると強調します。これは伝統的な「信仰義認」の教理に基づくものです。信仰の結果として感情的な高揚感が伴うことはありますが、そのような感情の有無が救いの確かさとは直接関係ないと考えます。神の言葉への信頼こそが救いの基盤である、という立場を取っています。

この信仰と感情の関係性を分かりやすく説明するため、彼らはしばしば「汽車」に例えます。神（あるいは神の言葉である聖書）を動力源である機関車、神への信頼である信仰を機関車と客車を繋ぐ連結器、そして感情を客車に例えるのです。「客車が連結されていなくても機関車は走ることができますが、客車が機関車を牽引することは決してありません」と説明することで、信仰が救いの本質であり、感情はそれに伴うものであることを示しています。

また、特定の個人の宗教体験や哲学を聖書よりも優先させるような考え方や団体に対しては、聖書に基づいた健全な信仰から逸脱する可能性があるとして、注意を促しています。

団体名に関しては、歴史的な経緯から変更が発表されました。2011年7月19日、彼らは団体名を「Cru（クル）」に変更すると発表しました。これは、「十字軍」を意味する「クルセード」という言葉が、キリスト教の愛と平和のメッセージを伝える上で、特に現代においては誤解を招き、かえって障害となる場合があったためです。この名称変更は2012年初旬に実施されましたが、現在のところ、この新しい名称が正式に適用されているのは主にアメリカ合衆国内の活動においてです。創設者ビル・ブライト自身も、その妻ヴォネット・ブライトによると、団体設立当初から将来的な名称変更の必要性を感じていたと言われています。

もう一度検索