キャンベル・スープ・カンパニー

キャンベル・スープ・カンパニー（Campbell Soup Company、NYSE:CPB）は、アメリカ合衆国を代表する食品メーカーであり、スープ缶をはじめとする様々な食品を製造・販売しています。「キャンベルズ（Campbell's）」の愛称で親しまれ、その製品は世界120カ国以上で販売されています。本社はニュージャージー州カムデンに位置し、日本においてはキャンベルジャパン株式会社が東京都港区虎ノ門に拠点を構えています（2025年現在、代表取締役はリム・ムーイ・チェン）。

事業概要

創業当初はスープ缶が主力でしたが、近年では非濃縮スープ、乾燥スープミックス、グレイビーソースなど、取扱製品を拡大しています。積極的にM&Aも展開し、フランコ・アメリカン、ペパリッジファーム、ヴラシック、スワンソン、ミセス・ポールズ、プレゴ、ゴディバ、マリーズなど、多くのアメリカ企業を買収しました（ミセス・ポールズとヴラシックは後に売却）。

1994年時点での売り上げ上位3製品は、チキンヌードル、クリームオブマッシュルーム、トマトであり、年間約25億個のスープ缶が消費されています。

赤と白の缶のデザインとアンディ・ウォーホル

キャンベルのスープ缶といえば、赤と白のデザインが特徴的です。このデザインは、1960年代のポップアートを代表する芸術家、アンディ・ウォーホルの作品「キャンベルのスープ缶」のモチーフとして広く知られています。1962年から1968年にかけて制作されたウォーホルの絵画は、アンディ・ウォーホル美術館（ピッツバーグ・カーネギー美術館）に多数展示されています。

2004年には、ウォーホルの作品を記念した限定デザイン缶が発売されました。通常の赤と白のデザインとは異なり、ウォーホルの絵画を模したシルクスクリーンの色調が使用され、オレンジ色とピンク色、または青色を基調としたデザインが特徴です。この限定デザイン缶は、アメリカ東海岸を中心に販売され、オハイオ州などの西海岸地域にも流通しました。

日本での展開

日本では、キャンベル・ジャパンと清水食品が、日本人の味覚に合わせた製品を販売しています。都市部の輸入食料品店では、オリジナルの各種スープも入手可能です。沖縄県では、米軍統治時代からキャンベルのスープが家庭の常備食として親しまれており、一部銘柄はアメリカとほぼ同じ価格で購入できます。1994年3月から2002年7月31日までは、ミツカングループとの合弁会社「キャンベルナカノ」が販売を担当していました。

沿革

キャンベル・スープ・カンパニーは、1869年にジョセフ・A・キャンベルとエイブラハム・アンダーソンによって設立されました。当初の社名は「ジョセフ・A・キャンベル保存加工会社」であり、缶・瓶詰めのトマト、野菜、ゼリー、スープなどを製造・販売していました。

1896年にアンダーソンが事業から撤退し、ジョセフ・キャンベル株式会社として再編されました。1897年には、ジョン・T・ドーランス博士が週給7ドル50セントで入社。ドーランス博士は、スープの水分を減らす濃縮製法を開発し、スープの価格を手頃にし大衆に普及させました。

1900年のパリ万国博覧会では、濃縮スープ缶が出品され、ゴールドメダルを受賞。現在もラベルに描かれているメダルは、この時の受賞を記念したものです。

1898年、重役のハーバートン・ウィリアムズが、コーネル大学フットボールチームのユニフォームの色に触発され、赤と白のラベルデザインを採用しました。このデザインは、現在までほとんど変わっていません。

広告戦略

キャンベル・スープ社は、創業以来、広告に積極的に投資してきました。「キャンベルキッズ」や、ロナルド・レーガン大統領を起用した「V8」の広告などが有名です。1968年には、スープ缶を2缶購入した消費者に、スープ缶のデザインが描かれたペーパードレスを1ドルで提供するキャンペーンも実施されました。

また、料理本シリーズ「ヘルプ・フォー・ザ・ホステス」を制作し、トマトスープケーキなどのレシピを紹介しました。1916年には、キャセロール料理にクリームソースの代わりに濃縮クリームスープの缶詰を使うことを提案し、家庭料理に大きな影響を与えました。

社名変更

2024年9月、キャンベル・スープ社は、社名を「ザ・キャンベルズ・カンパニー」に変更することを発表しました。これは、取扱製品がスープ以外にも拡大している現状に合わせたものです。

主なブランド

キャンベルズ・チャンキー
キャンベルズ・コンデンス
キャンベルズ・ヘルシー・リクエスト
ペースフーズ
ペパリッジファーム
プレゴ
スワンソン
V8

文化的関連

TVアニメ「サウスパーク」では、キャンベルのチキンスープ「ニキル」と炭酸飲料水のスプライトが、伝統的な治療薬として登場します。

過去の出来事

1972年 12月、日本に輸入された「V8野菜カクテルジュース」から、基準を超える鉛が検出され、三井物産が自主回収を行いました。

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