キューバ革命軍

キューバ革命軍 (Fuerzas Armadas Revolucionarias, FAR)

キューバ革命軍は、キューバの軍事組織です。その起源はキューバ革命を達成した7月26日運動に遡ります。総兵力は約49,000人で、予備役は約39,000人です。

組織

革命軍は、陸軍、海軍、空軍の三軍を基幹とし、青年労働軍などの各種民兵組織から構成されています。徴兵制度があり、適齢期の国民は2年間兵役に服します。

陸軍: 約38,000人の兵力を擁し、国土を三分割した地域軍を基盤に、現役16個旅団と予備役14個旅団を保持しています。装備はソ連製が多く、カリブ海地域では最大規模ですが、部品や燃料不足が課題です。国境警備旅団も擁しています。グァンタナモ米軍基地が国内にあるため、陸上警備だけでなく周辺水域の哨戒艇も保有しています。
海軍: 約3,000人の兵力を擁し、国土を東西に二分して防衛警備にあたっています。ミサイル艇を中心に13隻を保有し、小規模な海兵隊と沿岸砲兵部隊も有しています。
空軍および防空軍: 約8,000人の兵力を擁し、海軍と同様に国土を東西に二分して防衛警備にあたっています。ソ連製の航空機を中心に約200機を保有していますが、稼働率は低い状況です。地対空ミサイルによる防空任務も担っています。
民兵組織:
青年労働軍 (EJT): 1973年8月1日に発足した民兵組織で、革命軍の一部です。国家と社会の発展のための生産活動、環境保護、天然資源の利用、軍事訓練への参加などを任務としています。
地方民兵隊 (MTT): 1980年5月1日に発足した民兵組織で、祖国防衛を目的とした志願制です。100万人以上が所属し、その半数は女性です。非常時にはインフラ守備や民間防衛の任にあたります。
生産防衛旅団 (BPD): 戦争時に生産活動に従事することを目的として設立されました。国土全体に生産センターや研究所を組織しています。

歴史

1966年から1980年代後半にかけて、ソ連からの大規模な援助により軍事能力を増強し、国外での軍事作戦を可能にしました。1980年代には、キューバ危機以前を超える規模の装備がソ連から供給されました。1994年時点では、現役兵だけで235,000人と推定されていました。

1989年には、政府は軍隊と内務省を粛清し、麻薬密売に関与したとして、アルナルド・オチョア少将らが処刑されました。その後、軍は大幅に縮小されました。

冷戦終結後、ソ連からの援助が減少したため、キューバ軍はさらに縮小されました。正規軍の規模は49,000人にまで低下しました。しかし、DIAの報告によれば、民兵組織は士気と錬度の低下に苦しみながらも、「敵の侵攻に対し潜在的抑止力を保持し得た」と評価されました。キューバ軍は「人民戦争戦略」を採用し、天然の要害を活用した防勢能力を強化しています。

実戦経験と海外派遣

キューバ革命軍は、国内の紛争に加え、ピッグス湾事件や対盗賊戦などを経験しました。また、アルジェリア、シリア、エチオピア、アンゴラ、ニカラグアなどへの海外派遣も行っています。特にアンゴラ内戦では、1975年から1988年まで大規模に介入し、MPLA政権の存続に貢献しました。クイト・クアナヴァレの戦いでは、南アフリカ軍の侵攻を阻止し、ニューヨーク合意の締結に繋がりました。これら一連のアンゴラ派兵活動はカルロタ作戦と呼ばれています。

教育機関

キューバ革命軍は、以下の教育機関を有しています。

カミロ・シエンフェゴス軍学校
マジョルヘネラル・ホセ・マセオ・イ・グラハレス実習学校
ルガルテニエンテヘネラル・アントニオ・マセオ・グラハレス実習学校
ホセ・マルティ軍研究所
ヘネラリッシモ・マクシモ・ゴメス・バエス空軍士官学校
グランマ海軍士官学校
バラグア特殊部隊学校
* コマンダンテ・アリデス・エステベス対諜報戦学校

ソ連時代には、多くの軍人が東側諸国で訓練を受けました。各州には防衛準備州学校が置かれ、人民戦争の概念に基づいた教育が行われています。

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