キリスト教国家農民及び農村住民党

キリスト教国家農民及び農村住民党（CNBL）とは

キリスト教国家農民及び農村住民党（Christlich-Nationale Bauern- und Landvolkpartei、略称CNBL、Landvolk）は、ヴァイマル共和政期のドイツに存在した政党です。別名、ドイツ農村住民党（Deutsches Landvolk）とも呼ばれていました。

結党の背景

1927年以降、農産物価格が大幅に下落したことが、党結成の背景にありました。当時の主要な農業利益団体であった全国農村同盟(RLB)を支持基盤としていたドイツ国家人民党(DNVP)は、大土地所有者や工業資本の利益も代表しており、中小農民の窮状に対する関心は薄かったのです。そのため、国家人民党内部からも中小農民を中心に党の政策を批判する動きが起こりました。

結党と初期の活動

こうした状況を受け、中小農の利益を代表する政党として、1928年3月8日にキリスト教国家農民及び農村住民党が結成されました。テューリンゲンとヘッセンの農民組織、特にテューリンゲン農村同盟が中心となり、初代党首にはテューリンゲン農村同盟のエルヴィン・バウムが就任しました。一部の大土地所有者や、全国農業同盟の指導者も参加しています。

政策と主張

農村保守的な性格を持つ党であり、特に西エルベ地域の農民の利益を代弁しました。国家人民党とは異なり、工業利益を考慮する必要がなかったため、農業利益を過度に重視する傾向がありました。外交面では対外強硬派であり、ラインラントからのフランス軍の無条件撤退や、国際連盟管理下にあったザール地方のドイツへの編入を主張し、賠償案であるヤング案にも反対しました。

1928年5月の総選挙では、国家人民党から支持層を奪い、9議席を獲得する成果を上げました。1930年9月の総選挙では、ドイツ農村住民党（Deutsches Landvolk）の名で立候補し、旧党名を括弧書きで併記しました。この選挙で3.17%の得票を得て19議席に躍進し、保守人民党やドイツ＝ハノーファー党と共同で「Deutsches Landvolk」グループを形成し、合計26議席となりました。

衰退

当初、農村住民党はパウル・フォン・ヒンデンブルク大統領の指名したハインリヒ・ブリューニング内閣を支持していましたが、1930年9月の国会選挙後には、国家人民党のアルフレート・フーゲンベルクの対政府強硬路線に接近し、独自性を失っていきました。また、同時期に全国農村同盟の支持と票の獲得を狙う国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP,ナチ党)からの攻撃を受けるようになります。

1932年7月の総選挙では、支持層をナチ党に奪われ、得票率は0.25%にまで低下し、議席はわずか1議席にまで激減しました。同年11月の総選挙では、ついに議席を失い、1933年3月の総選挙には出馬することなく、消滅しました。

歴代党首

エルヴィン・バウム（1928年-1930年）
エルンスト・ホーファー（1930年-1931年）
* ヴォルフガング・フォン・ハウエンシルト＝シャイト（1931年-1933年）

まとめ

キリスト教国家農民及び農村住民党は、ヴァイマル共和政期において中小農民の利益を代表する政党として一時的に存在感を示しましたが、ナチ党の台頭とともに衰退しました。その短い活動期間の中で、農業政策や外交政策において独自の主張を展開し、当時の政治状況に一定の影響を与えたと言えるでしょう。

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