キリル・ペトレンコ

キリル・ペトレンコ：卓越した才能で世界を魅了する指揮者

キリル・ガリエヴィチ・ペトレンコ（Kirill Garrievich Petrenko）は、1972年2月11日、ロシアのオムスクに生まれました。ユダヤ系の音楽一家に育ち、幼少の頃から音楽の才能を開花させました。

若き才能の開花と音楽の道へ

11歳でピアニストとしてオーケストラデビューを果たし、18歳でオーストリアへ移住。フェルトキルヒのフォアアールベルク州立音楽学校で音楽を学び、ウィーン国立音楽大学でウロシュ・ラヨヴィチらに指揮を師事しました。ペーター・ギュルケ、チョン・ミョンフン、エドワード・ダウンズといった巨匠たちからも薫陶を受け、着実に指揮者としての実力を高めていきました。

オペラ指揮者としての躍進

1995年、フォアアールベルクでオペラ指揮者としてデビュー。その後、ウィーン・フォルクスオーパーの指揮者、マイニンゲン宮廷楽団の音楽監督を歴任し、ワーグナーの『ニーベルングの指環』を4日間連続で上演するなど、国際的な注目を集めました。

ウィーン国立歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス、パリ国立オペラなどの主要歌劇場で次々と重要な演目を指揮し、その評価を確立。ベルリン・コーミッシェ・オーパーの音楽監督時代には、『オペルンヴェルト』誌の年間最優秀指揮者に何度も選ばれるなど、名声を確固たるものとしました。

バイエルン国立歌劇場、そしてベルリン・フィルへ

2013年、ケント・ナガノの後任としてバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任。同年よりバイロイト音楽祭で『ニーベルングの指環』の新演出を指揮し、その手腕を高く評価されました。

そして2015年、ベルリン・フィルの次期首席指揮者・芸術監督に選出され、2019年、サイモン・ラトルの後任として就任。ロシア出身者としてはレオ・ボルヒャルト以来、約70年ぶりの快挙となりました。ドイツ最大の予算を持つコンサートオーケストラと歌劇場の両方の指揮者を兼ねるという、重責を担うことになったのです。

社会への発言

2022年のロシアによるウクライナ侵攻に対しては、「国際法に反する陰湿な攻撃」「芸術に対する攻撃でもある」と強く非難し、「ウクライナの人々と連帯する」との声明を発表。その毅然とした態度は、多くの人々に感銘を与えました。

キリル・ペトレンコは、音楽界を牽引する存在であると同時に、社会に対しても積極的に発言する、現代を代表する指揮者の一人と言えるでしょう。今後の活躍から目が離せません。

主な活動歴

1997年 - 1999年：ウィーン・フォルクスオーパー指揮者
1999年 - 2002年：マイニンゲン宮廷楽団音楽監督
2002年 - 2007年：ベルリン・コーミッシェ・オーパー音楽監督
2013年 - 現在：バイエルン国立歌劇場音楽監督
2019年 - 現在：ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者

受賞歴

『オペルンヴェルト』誌年間最優秀指揮者（2005年、2007年、2009年、2014年、2015年）

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