キリル1世 (モスクワ総主教)

モスクワ総主教キリル1世

モスクワ総主教キリル1世（本名：ウラディーミル・ミハイロヴィチ・グンヂャエフ）は、1946年11月20日にサンクトペテルブルクで生まれました。彼の父は正教会の司祭で、母はドイツ語教師であったため、宗教的な家庭で育ちました。1962年から1965年にはレニングラード総合地質探検隊で技術地図製作者をしていましたが、その後、宗教の道に進むことを決意し、レニングラード神学校・神学アカデミーで学びました。1970年には神学の学位を取得し、翌年には司祭に叙階されました。

キリル1世は1989年からロシア正教会の渉外局長として活動し、1991年にはスモレンスクとカリーニングラードの府主教に就任。その後、2009年2月にモスクワ総主教に選出されました。彼はその後、日本正教会との関係を深めたり、国際的な宗教対話に積極的に参加したりしました。特に、2000年にモスクワ総主教アレクシイ2世に随行し来日した経験は、彼の国際的な立場を強化する要因となりました。

キリル1世の特徴的な出来事の一つとして、2016年2月にキューバでフランシスコ（ローマ教皇）と会談したことが挙げられます。この会談は、正教会とカトリック教会の和解の象徴とも言えます。その後も彼は、政治と宗教の両方で強い影響力を持ち続けています。

キリル1世は、プーチン大統領との関係が特に有名です。彼はプーチン大統領を精神的な盟友として支え、国の宗教的価値観と政策が一致するように努めています。特に、プーチン大統領が2012年や2018年に再選した際には、特別な祈りを捧げる儀式を行ったことも広く知られています。

最近では、2022年のウクライナ侵攻に際して、キリル1世はロシアの立場を支持する声明を発表しました。彼の発言は、ロシアの伝統的な価値観を守ることを目的としたもので、ウクライナへの軍事侵攻を正当化する意図があると批判されています。

また、彼はその豪華な生活様式でも知られています。聖職者でありながら、クレムリンの宮殿に住み、数百万ドルの不動産を所有していると言われています。彼の生活は一部から批判されることもあり、特に高額な腕時計を身につけていることが報じられたこともありました。

キリル1世はこれまでに8回日本を訪れており、和食に対する愛著も公言しています。彼は「世界の料理の中でも和食が圧倒的に好きだ」と語り、日本との関係を深める一因となっています。

このように、モスクワ総主教キリル1世は、ロシア正教会の指導者として、信仰だけでなく政治、国際関係においても大きな影響を与える存在として知られています。彼の活動には賛否が分かれることも多いですが、現代のロシアにおける宗教的、社会的動向を理解する上で避けて通れない人物と言えるでしょう。

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