モスクワ総主教

モスクワ総主教について



モスクワ総主教（正式にはモスクワおよび全ロシア総主教）は、ロシア正教会のトップに立つ重要な役割を担っています。この地位は、ロシアの独立した正教会の象徴であり、教会全体の精神的指導を行う存在です。現在の総主教は、2009年2月1日から任に当たるキリル1世です。

総主教の使命には、ロシア国内外の教区の監督を行い、自治教会の新たな首座主教の承認も含まれています。総主教のロシア語名は「Патриарх Московский и всея Руси」で、英語では「Patriarch of Moscow and All Russia」と訳されます。

歴史的背景



ロシア正教会は1448年に、事実上コンスタンディヌーポリ総主教庁から独立しましたが、モスクワの主教は依然としてその位階を保持していました。しかし1589年に、当時のボリス・ゴドゥノフ摂政が教会の独立を求め、複数の総主教から正式な認可を受けた結果、ロシア正教会は独立した教会として認識され、以降モスクワ総主教がその頂点となりました。

1721年には、ツァーリのピョートル1世によって総主教職は一時的に廃止されてしまいます。その後、ニコライ2世の時代に復活が図られましたが、ロシア革命後の1925年から1943年にかけては、ソビエト政府による圧力のため、再び総主教の選立が停止されました。1943年になり、ようやく宗教に対する政策が緩和され、新たな総主教の選立を許可されることとなりました。

歴代の総主教には、モスクワに侵攻したポーランド人に対して祝福を与えなかったゲルモゲンや、ロシア革命の時に亡くなった聖ティーホンなどが有名です。特に17世紀における彼らの行動は、ロシア正教会の歴史において重要なエピソードとなっています。

歴代総主教の一覧



モスクワ総主教の歴代は以下の通りです。教会スラヴ語の再建音により表記されています。


さらに、ロシア古正教会には2002年からアレクサンドル大主教が総主教の位に就いています。このことから、現代のロシアには2名の総主教が存在し、それぞれ異なる信仰の枠組みと背景を持っています。

関連事項



モスクワ総主教が身に着ける帽子は「クーコリ」と呼ばれ、正教の伝統に基づいた重要な象徴となっています。ロシア正教会は、長い歴史の中でビザンティン文化とも深く関わっており、様々な信仰の交流や影響を受けています。

このように、モスクワ総主教はロシア正教会の中核的存在であり、その役割と歴史はただ現代に留まらず、数世代にわたる伝統と信仰の象徴なのです。

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