キリング・イズ・マイ・ビジネス

『キリング・イズ・マイ・ビジネス...アンド・ビジネス・イズ・グッド!』（Killing Is My Business... and Business Is Good!）は、1985年にメガデスが発表した記念すべきデビュー・アルバムです。インディーズ・レーベルのコンバット・レコードからリリースされ、スラッシュメタルシーンに衝撃を与えました。

制作の背景

メタリカを解雇されたデイヴ・ムステインは、1983年にメガデスを結成。1984年にはコンバット・レコードとの契約を獲得し、本作の制作に取り掛かりました。アルバムのジャケットを巡っては、バンド側の希望するイメージ・キャラクター、ヴィック・ラトルヘッドのイラストではなく、レーベル側が用意した模型の写真が使用されるという経緯がありました。この決定に対し、デイヴィッド・エレフソンは長年不満を抱いていたことを明かしています。収録曲の「ザ・スカル・ビニース・ザ・スキン」は、このヴィック・ラトルヘッドをテーマにした楽曲です。

「メカニックス」は、ムステインがメタリカ加入以前に作曲した楽曲の再録音版です。メタリカのデモ・テープにも収録されていましたが、メタリカのデビュー・アルバム『キル・エム・オール』（1983年）では、歌詞が変更され「ザ・フォー・ホースメン」として発表されました。メガデス版「メカニックス」は、よりテンポが速く、攻撃的なアレンジが施されています。

問題作「ディーズ・ブーツ」

オリジナル盤には8曲が収録されていましたが、ナンシー・シナトラの代表曲「にくい貴方」のカバーである「ディーズ・ブーツ」は、歌詞の一部改変が問題視され、後に収録が見送られました。マネージャーのジェイ・ジョーンズに勧められ、ジョークとして録音されたこの曲は、原作者であるリー・ヘイゼルウッドから「卑猥で攻撃的」であるとクレームを受け、アルバムから削除されることとなりました。

リマスター盤とリミックス盤

2002年にラウド・レコードから発売されたリマスター盤では、ジャケット・デザインが変更され、収録曲のデモ・バージョンがボーナス・トラックとして追加収録されました。問題となった「ディーズ・ブーツ」も再収録されましたが、歌詞の一部にピー音が被せられるという措置が取られました。

2018年には、リミックス＆リマスター盤『Killing Is My Business...And Business Is Good! - The Final Kill』がリリースされました。エンジニアのマーク・ルイスが発見した音源を使用し、新たにリミックスとリマスターが施されています。このバージョンでは、「ディーズ・ブーツ」のデイヴ・ムステインのボーカルが、オリジナルの歌詞で再録音されたものに差し替えられています。

収録曲

オリジナル盤

1. ラスト・ライツ/ラヴド・トゥ・デス - Last Rites/Loved to Death
2. キリング・イズ・マイ・ビジネス - Killing Is My Business... and Business Is Good!
3. スカル・ビニース・ザ・スキン - Skull Beneath the Skin
4. ディーズ・ブーツ - These Boots
5. ラトルヘッド - Rattlehead
6. チョーズン・ワン - Chosen Ones
7. ルッキング・ダウン・ザ・クロス - Looking Down the Cross
8. メカニックス – Mechanix

本作は、メガデスの初期衝動と、デイヴ・ムステインの音楽的才能が凝縮された作品であり、スラッシュメタル史における重要な一枚として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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