キリール・ラヴロフ

キリール・ユーレヴィッチ・ラヴロフ

キリール・ユーレヴィッチ・ラヴロフ（Кири́лл Ю́рьевич Лавро́в）は、1925年9月15日にレニングラード（現在のサンクトペテルブルク）に生まれた著名なソビエト連邦およびロシアの俳優である。彼の俳優としての才能は、家族の影響を強く受けており、両親であるユーリ・ラヴロフとオルガ・イワノヴナ・グディム＝レフコヴィッチの両方が俳優であったが、政治的な環境は恵まれていなかった。彼の祖母はロシア革命後に国外に逃れた反共主義者であり、この背景がラヴロフ家の生き方に影響を及ぼした。

青年時代と軍歴

第二次世界大戦が勃発すると、ラヴロフはシベリアのノヴォシビルスクに疎開することとなる。1943年に17歳で赤軍に志願入隊し、アストラハン航空専門学校に入学した。卒業後は1945年から1950年まで千島列島の択捉島で航空機技術者として働く間に、軍のアマチュア劇団で役者として舞台に立つ機会を得る。

プロの俳優としての道

1950年にキエフで両親と再会し、その後プロの俳優としての活動を始める。父の主演舞台に出演することで、演技の才能を発揮し、1955年にはレニングラードに戻り、レニングラード・ボリショイ・ドラマ劇場（BDT）の一員となった。彼はこの劇場の常勤メンバーとして、2007年まで活躍し続けた。

映画監督としての活躍

1968年には、『カラマーゾフの兄弟』の撮影中に監督が急死し、彼と主演俳優のミハイル・ウリヤーノフが監督を引き継ぎ、映画を完成させるという特異な経験を持つ。このようにラヴロフは俳優だけでなく、映画監督としても名を馳せ、その後も数々の賞を受賞した。

受賞歴と芸術監督職

ラヴロフはソ連人民芸術家の称号やソビエト連邦国家賞を含む多くの栄誉を受け、さらにサンクトペテルブルクの名誉市民にも選ばれた。1989年にはBDTの芸術監督に就任し、2007年までその職に留まり、ゲオルギー・トフストノーゴフの芸術的伝統を守り続けた。特に彼は、ソ連崩壊後のロシアの文化界においても重要な役割を果たした。

国際的な活動と私生活

1992年から2006年までは国際演劇労働組合連合の会長として国際的な俳優・演出家たちの権利を擁護する活動を行った。プライベートでは、サッカーを愛し、地元のクラブ「ゼニト」の熱心なサポーターでもあった。また、若い頃には、さまざまなスポーツに親しみ、スキーや器械体操、フェンシングを学んでいた。1952年に結婚したワレンティナ・ニコラエヴァとの間に2子を授かったが、2000年に妻は他界した。

主な映画作品

ラヴロフのキャリアには多くの映画があり、主な出演作には以下が含まれる：
怒りと響きの戦場（Живые и мёртвые、1964）
カラマーゾフの兄弟（Братья Карамазовы、1969）
チャイコフスキー（Чайковский、1970）
狩場の悲劇（Мой ласковый и нежный зверь、1978）
巨匠とマルガリータ（Мастер и Маргарита、2005）
レニングラード 900日の大包囲戦（Ленинград、2007）

ラヴロフは2007年に心臓疾患により亡くなったが、彼の影響力と業績は今日まで高く評価されている。

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