キルサン・イリュムジーノフ

キルサン・イリュムジーノフの生涯と業績

概要

キルサン・ニコラーエヴィチ・イリュムジーノフは、1962年4月5日にカルムイク自治共和国の首都エリスタに生まれました。彼は早くから卓越したチェスプレイヤーとして知られ、14歳でカルムイクのチェスチャンピオンに輝きました。政治の世界に入ると、彼はカルムイク共和国初代大統領として、また国際チェス連盟（FIDE）の会長として長い活動を続けました。

ソ連時代

彼の青春時代はソビエト連邦の影響下にありました。1979年には中学校を金メダルで卒業し、その後「ズヴェズダ」工場で働きます。18歳からは兵役に就き、除隊後はモスクワ国際関係大学で日本学を学び、ソ連共産党にも加入しました。1989年には日ソ合弁企業の役員として商業活動にも従事しました。

1990年3月、イリュムジーノフは人民代議員に当選し、以降は国際ビジネスと政治を両立させていきます。

カルムイク共和国大統領

1993年、彼はカルムイク共和国大統領に選出されました。彼の政治スタイルは注目され、特に日本、シンガポール、中国を手本にした経済政策で知られます。外国からの投資を促進し、警察権力を使って治安を維持しました。彼はまた、仏教を国教として設け、他宗教との共存も目指して寺院や教会を建設しました。

第1期（1993年〜1995年）

大統領に選出された後、イリュムジーノフは国営投資会社「カルムイキア」の社長を兼任。政変時には、議会の防衛に奔走しました。また、チベット仏教を国教に指定する憲法改正を実施しましたが、財政問題で政府を総辞職しました。

第2期（1995年〜2002年）

彼は再選され、国際チェス連盟の会長に就任します。この時期、共和国の行政権を集約し、対立候補が存在しない中での再選は批判を招きます。

第3期（2002年〜2010年）

2002年、三選されたイリュムジーノフは大統領という役職名を「首長」に改称しました。任期の延長と共に、彼は政治的な影響力を増し続けました。2010年には首相就任の打診を受けるも断りました。

逸話

イリュムジーノフには特異な逸話があります。2010年には宇宙人に誘拐された経験を語り、注目を集めました。この発言には多くの議論を呼び、ロシアの関係機関による調査も行われました。

チェス・シティ

彼の発案で1998年には、エリスタに大規模なチェスのコンベンションセンター「チェス・シティ」が建設され、地域の文化的拠点として機能しています。

人物と個人生活

イリュムジーノフは友好勲章を受章し、チェスのスポーツマスターでもあります。彼は多言語を操り、特に日本語も流暢に話します。1980年代末には家庭も持ち、1990年に息子が誕生しました。自らを仏教徒と考え、カルムイク語を母国語としています。

結論

キルサン・イリュムジーノフは、政治家としての業績だけでなく、異文化との共存や革新的な政策によって注目される存在です。彼の生涯には興味深いエピソードも多く存在し、ロシアの現代史における重要な人物となっています。

もう一度検索