キルタの戦い

キルタの戦い：スキピオとシュファクスの激突

第二次ポエニ戦争における紀元前203年、北アフリカの地で繰り広げられたキルタの戦いは、ローマとカルタゴの命運を大きく左右する戦いとなりました。スキピオ・アフリカヌス率いるローマ軍と、カルタゴの同盟国であったヌミディア王シュファクスの軍勢が激突したこの戦いの背景、経過、そしてその後の影響について詳しく解説します。

バグラデス川の敗北とヌミディアへの撤退

バグラデス川の戦いでローマ軍に敗北したシュファクスは、本拠地であるヌミディアへと撤退しました。ローマ軍の司令官スキピオは、彼の信頼する部下ガイウス・ラエリウスと、ヌミディア騎兵を率いるマシニッサにシュファクスの追撃を命じました。シュファクスはヌミディアの首都キルタ（現在のコンスタンティーヌ）に逃れ、そこで再起を図り、ローマ軍に対抗するための新たな兵力を集結させようと試みました。

ローマ式軍隊の模倣と兵力不足

シュファクスはスキピオの成功に触発され、自軍も急ピッチでローマ式に再編しようとしました。しかし、新編成された軍は、兵力こそローマ軍に匹敵する規模であったものの、兵士たちの経験不足は否めませんでした。急ごしらえの軍隊では、歴戦のローマ軍に対抗するには困難が伴うことは明らかでした。

戦闘の開始とシュファクスの敗北

戦闘の火蓋は、両軍の騎兵同士の激しい衝突によって切られました。当初は互角の戦いが繰り広げられましたが、ローマ軍歩兵が騎兵を支援すると、カルタゴ軍騎兵は徐々に圧され、ついには戦場から敗走しました。自軍の崩壊を目の当たりにしたシュファクスは、自らを危険に晒して前線へと進み、兵士たちを再集結させようとしました。しかし、その勇敢な試みも虚しく、彼は落馬し、ローマ軍の捕虜となってしまいました。

キルタの開城とスキピオの地位確立

ローマ軍はキルタへと進軍し、鎖に繋がれたシュファクスの姿を市民に見せつけました。これにより、キルタは抵抗を諦め、ローマ軍に開城しました。この勝利によって、スキピオはアフリカにおけるローマの地位を確固たるものとしました。

ハンニバルの帰還とザマの戦い

キルタの戦いの後、ハンニバルがイタリアからカルタゴへと帰還しました。そして、スキピオとハンニバルは、ついにザマの戦いで直接対決することになります。スキピオはこのザマの戦いでも勝利を収め、第二次ポエニ戦争は終結へと向かいました。

参考資料

* Livy, Titus (trans. Rev. Canon Roberts). The History of Rome, Volume 4. London: J. M. Dent & Sons, Limited, 1905. pp. 11-12

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