キルディア山の戦い

キルディア山の戦い（またはターカホクティ山の戦い）は、1864年7月28日から29日にかけて、アメリカ陸軍のアルフレッド・サリー准将が指揮する部隊と、スー族インディアンとの間で戦われた戦闘です。この戦いは、当時ダコタ準州であった現在のノースダコタ州ダン郡で発生しました。サリーの遠征隊は総勢4,400名以上で構成され、アメリカ陸軍がインディアンに対して行った軍事作戦としては最大規模のものでした。

背景

1862年のダコタ戦争後、アメリカ政府は戦争に参加していなかったスー族を含むインディアンを処罰し続けました。1863年の大規模な遠征（ホワイトストーンヒルの戦い）によって、スー族の多くは一時的にミズーリ川西岸へと移動しましたが、ミネソタや両ダコタの白人開拓地では依然として安全が確保されていませんでした。1864年春には、スー族による襲撃で白人4人が殺害される事件も発生していました。

スー族に対する新たな軍事作戦の主な動機は、モンタナ準州やアイダホ準州で発見されたばかりの金鉱への通信線を保護することでした。金鉱探鉱者にとって重要な輸送路であるミズーリ川は、スー族の領土の中心を通っており、安全な航行を確保する必要がありました。ジョン・ポープ少将は、アルフレッド・サリー准将に対し、ミズーリ川沿いと両ダコタ東部に砦を建設し、金鉱への通信ルートを確立し、ミズーリ川東岸の開拓者に対するスー族の脅威を取り除くよう命じました。

サリーの部隊は2つの旅団に分かれていました。第1旅団は1,700名の兵士で構成され、アイオワ州スーシティを出発してミズーリ川を遡上しました。第2旅団は約1,550名で、ミネソタ州のリッジリー砦から陸路を進軍しました。ミズーリ川を遡る途中で、スー族による襲撃があり、兵士1名が殺害され、複数名が負傷しました。この事件に関与したスー族3名は捕えられ、処刑されました。

サリーの2つの部隊は6月29日に合流し、7月7日にはノースダコタのミズーリ川沿いにライス砦を建設しました。偵察員の情報によると、リトルミズーリ川近くにスー族の大規模な宿営地があることが判明しました。7月19日、サリー隊はライス砦を出発し、スー族の宿営地に向かいました。途中、サリーは金鉱に向かう200人の採鉱者とその家族の荷車隊に出会い、彼らの護衛を引き受けることになりました。

偵察員は、スー族の宿営地には1,500から1,800のティピーがあり、5,000から6,000人の戦士がいると推定しました。実際には、スー族は1,600人の戦士がいたと主張しています。宿営地にいたスー族は、ラコタ族（ティトン族）のハンクパパ、シハサパ、ミニコンジュー、サンサーク各バンドが中心で、ヤンクトナイ族やサンティ族も混ざっていました。スー族の多くは弓矢で武装しており、一部がマスケット銃や猟銃を所持していました。特に、ティトン族の多くはこの戦闘以前、アメリカ合衆国に敵対的ではありませんでした。

サリーは、ライス砦を出発した後、攻撃に使える兵力を2,200名としていました。また、8門の榴弾砲を装備した砲兵隊もいました。7月26日、サリーの偵察隊は30人のインディアン戦士と小競り合いになり、偵察員1人が負傷しました。これにより、サリーはスー族が自軍の存在に気づいていることを悟り、迅速かつ慎重に進軍を続けました。7月28日の朝、サンティ族の混血である偵察員が、大規模なスー族の宿営地が16km先に存在すると報告しました。

キルディア山は、深い谷や岩がちな丘陵で構成された地形であり、騎兵の突撃が困難でした。サリーは、兵士を下馬させ、1辺2kmの中空四辺形を形成させました。この陣形の中で馬と大砲を保護し、スー族の攻撃に備えました。

戦闘

アメリカ軍兵士が中空の四辺形を形成し、スー族が丘の周囲に散開した状態で、戦闘が開始されました。ハンクパパ族の戦士であるローンドッグが、ライフル銃の射程内に入り、挑発的な行動をとったため、サリーは狙撃手にローンドッグを射殺するよう命じました。ローンドッグの生死については、史料によって記述が異なっています。

ローンドッグへの最初の銃撃後、アメリカ軍兵士は散兵線で前進を開始し、スー族は側面を駆け巡りながら弱点を探しました。アメリカ軍の大砲による砲撃により、スー族は集団で行動することが困難になりました。サリー隊の後衛に対するスー族の激しい攻撃は、大砲の砲弾によって阻止され、多くの戦士が倒れました。サリー隊は四辺形の陣形を維持したまま着実に前進しました。スー族はアメリカ軍を押し返すことができないと悟り、ティピーや物資を畳んで、女性や子供たちの避難を優先しました。

スー族はサリー隊の前進を阻止するため、右側面と左側面から騎馬突撃を敢行しました。ヤンクトナイ族とサンティ族が右側面から、ティトン族が左側面から突撃しました。右翼にいたアルフレッド・B・ブラケット少佐率いるミネソタ大隊は、大砲の支援を受けながら、騎馬で反撃しました。サーベルと拳銃を使った接近戦の末、スー族を撃退しました。この突撃で、フロンティアと南北戦争で活躍したジョージ・ノースラップ中尉が戦死しました。

サリー隊がスー族の宿営地に近づいた頃には、あたりは暗くなっていました。サリーは兵士の前進を停止させましたが、スー族の宿営地に対する砲撃は続けました。スー族は逃亡するか、サリー隊の動きを遅らせるために戦い、ティピーや物資の多くを放棄することになりました。

この戦闘におけるアメリカ軍の損失は、戦死3名、負傷10名でした。一方、スー族の損失は、戦死者100名から150名と推定されていますが、スー族側は戦死者31名と主張しています。ほとんどの戦死者は戦士でした。

戦闘後

戦闘の翌日、スー族は宿営地を放棄しました。サリーは、残されたティピー、大量のバッファローの干し肉、そして3,000頭にも及ぶ犬を破壊するために700人の兵士を派遣しました。宿営地に取り残された子供を含むスー族の数名は、ウィネベーゴ族の偵察兵によって殺害されました。

スー族の多くはキルディア山の西にあるダコタ悪地を通って逃げましたが、サリー隊の近くに留まる者もいました。丘の上にいたスー族が白旗を掲げて対話を求めましたが、兵士から発砲されて逃げました。その夜、サリー隊の哨兵はスー族の攻撃を受け、2人が死亡し、1人が負傷しました。また、1人の兵士がインディアンと誤認されて味方の衛兵に射殺されました。

サリー隊は物資が不足し始めていましたが、スー族の追撃を続けることにしました。ブラックフット族の偵察員が、サリー隊の輜重隊も通過できる悪地を通る道を知っていたからです。2日後、サリー隊は見慣れない地形に遭遇しました。これは、8月7日から始まった悪地の戦いで、スー族が復讐を試みた場所でした。

戦闘に関わったアメリカ陸軍

* 北西方面軍: ジョン・ポープ少将（戦場には不在）

キルディア山戦場跡州立歴史史跡

キルディア山戦場跡州立歴史史跡は、戦場の一部を保存するためにノースダコタ州歴史協会によって管理されています。この場所には、戦死した兵士を慰霊する砂岩の記念碑、旗竿、そして2つの墓石があります。これらの墓石は、ミネソタ騎兵隊ブラケット大隊D中隊のジョージ・ノースラップ軍曹とホレース・オースティン兵卒のものです。この史跡は、ノースダコタ州キルディア市の北西13.6kmに位置しています。

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