キル・ユア・ダーリン

キル・ユア・ダーリン：ビート世代の夜明けと、友情と裏切りの物語

2013年公開のアメリカ映画『キル・ユア・ダーリン』（Kill Your Darlings）は、後にビートニクと呼ばれることになる若き詩人たち、アレン・ギンズバーグ、ルシアン・カー、ジャック・ケルアック、ウィリアム・S・バロウズの出会いと、彼らを巻き込む殺人事件を背景にした青春ドラマです。第二次世界大戦後の1944年、コロンビア大学に入学したアレン・ギンズバーグは、保守的な大学生活に馴染めずにいました。そんな中、彼は自由奔放なルシアン・カーと出会い、深く惹かれていきます。

ルシアンは、ウィリアム・S・バロウズやジャック・ケルアックらと深く関わり、彼ら独自の文学観や反体制的な思想に影響を受けたアレンは、次第にルシアンへの想いを募らせます。やがて二人は恋に落ちますが、ルシアンにはデヴィッド・カマラーという、複雑な関係にある元恋人がいました。この関係が、物語の悲劇的な転換点となります。

ルシアンはデヴィッドとの関係を断ち切り、ジャックと共にパリへ旅立つ計画を立てますが、デヴィッドが彼らを追いかけてきます。激しい口論の末、ルシアンはデヴィッドを殺害してしまいます。事件後、ルシアンは正当防衛を主張し、アレンに宣誓供述書を書いてもらうよう頼みます。しかし、アレンは事件の真相を知っており、葛藤の末にルシアンと決別します。

アレンは、事件の経緯を小説に書き上げ、大学の期末試験として提出します。しかし、そのスキャンダラスな内容は大学当局から問題視され、アレンは退学処分となります。退学後、アレンのもとに、教授から添削された小説原稿が送られてきます。教授は、アレンの才能を認め、彼を激励するメッセージを添えていました。

一方、ルシアンは殺人罪で服役した後、UPI通信社の記者となり、晩年までその職に就きました。ルシアンは結婚し、子供にも恵まれました。一方のアレンは、後にアメリカを代表する詩人として成功を収めます。アレンの最初の詩集はルシアンに捧げられましたが、ルシアン本人は自分の名前を削除するよう依頼しました。

この映画は、ダニエル・ラドクリフ演じるアレンと、デイン・デハーン演じるルシアンの圧倒的なケミストリー、そしてビート世代の若者たちの自由奔放な生き様、友情、そして葛藤を見事に表現しています。批評家からも高い評価を受け、Rotten Tomatoesでは77%の高評価を得ています。ビート世代に興味のある方、青春映画好きの方におすすめです。彼らの波乱に満ちた青春時代を、ぜひ劇場で、あるいはDVDでご覧になってください。

もう一度検索