キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区

キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区

概要

キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区（Kingston and Arthur's Vale Historic Area, KAVHA）は、オーストラリアのノーフォーク島に位置し、世界的に重要な文化遺産として2010年にユネスコの世界遺産に登録されました。この地域は、18世紀から19世紀にかけての植民地時代の証拠を保存しており、当時の生活様式や建築が見られる貴重な資産です。

歴史的背景

ヨーロッパ人の到来以前

ノーフォーク島には、14世紀から15世紀にかけてポリネシア系住民が住んでいました。彼らの痕跡は主にアーサーズ・ヴェールに見られますが、その文化が突如として消失した理由は不明です。

第一次入植（1788年-1814年）

ヨーロッパ人によるノーフォーク島の発見は1774年に遡ります。ジェームズ・クックがその地をイギリスの領有下にあると宣言し、1788年から本格的な移住が始まりました。この第一次入植では、アーサー・フィリップの指導のもと、フィリップ・ギドレー・キングを含む小規模な集団が上陸しました。キングストンが彼らの最初の定住地となり、開発が進むにつれてアーサーズ・ヴェールへも拡張が行われました。

しかし、1790年のシリウス号の難破により、島の住民は飢餓に苦しむ事態に。1791年からキングストンのインフラ整備が進められ、1795年には水車も建設されました。しかし政治的な陰謀や住民の減少によって、1814年に第一次入植は終焉を迎え、残された構造物は火災で壊滅しました。

第二次移植（1822年-1854年）

1822年、ラックラン・マッコーリー総督の報告を受けて、ノーフォーク島が再び注目され始めました。1825年、厳罰の流刑地として再入植が計画され、こちらでは囚人が積極的に建設作業に従事しました。1833年には囚人の数が600人に達し、囚人バラックや軍のバラックが建設され、農業やインフラが整備されました。

トーマス・ブンベリーが総督に就任した1839年には農業の近代化が進められ、人口は1840年に約1,800人に達しました。しかし、1844年に政策が変更され、懲罰と規律が重視されるようになり、1846年には反乱が発生。以降、ノーフォーク島流刑植民地は廃止に向かいました。

第三次入植と保全計画（1852年以降）

1852年、ピトケアン諸島の住民がノーフォーク島への移住を開始し、旧住居を利用しながら生活が始まりました。1870年には教会の建設など、新たな建築も行われましたが、19世紀の終わりには多くの建物が劣化していきました。

20世紀に入ると、1920年代から建物の再建が始まり、1950年代にはその重要性が再評価され、保存のための条例も制定されました。このプロセスを経て、1960年代から1980年代にはさらなる整備が行われ、キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区はその歴史と文化的意義を持つ資産として保護されています。

構成内容

キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区には、エリアAからNまでの13の異なる地区が存在します。これには総督官邸の保護地区やローランズの墓地が含まれ、各地区には独自の歴史的価値があります。例えば、総督官邸は1825年に建設され、長年にわたり公的な建物として使用されています。

このように、キングストンとアーサーズ・ヴェールの歴史地区は、多様な歴史を有する場所であり、過去の重要な出来事を証言する建築物や構造物が残っています。これらの遺産は、世界遺産としての価値が認識されています。

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