キングス教会 (ジブラルタル)

キングス教会について

ジブラルタルに佇むキングス教会（英: King's Chapel）は、イギリスの海外領土に位置する歴史的な教会です。この教会はジブラルタル総督公邸であるザ・カンヴェントの隣に建てられており、ジブラルタルにおいて最初に教会として建設された建物の一つです。その歴史は1540年代に遡り、当初はフランシスコ会の修道院の一部として誕生しましたが、1704年のイギリスによる占領以降、イングランド国教会が管轄することになりました。

歴史的背景

1462年にカスティーリャ王国がムーア人からジブラルタルを奪還した際、フランシスコ会の托鉢修道士たちが定住し、最初の教会を建設しました。この教会はジブラルタルで最初に教会として知られるもので、当時の改宗の動きにも絡んでいます。1704年、スペイン継承戦争の中、イギリス・オランダ連合軍がこの地を占拠し、フランシスコ会の教会は「キングス教会」と名を変え、イングランド国教会に引き継がれました。

教会は1779年から1783年にかけてのジブラルタル包囲戦で大きな損害を受けましたが、その後修復を経て再開されました。1844年にはジブラルタル防衛のための多数の兵士が集まる場所となり、教会は再び市民に利用されることが増えました。

多様な用途と改名

次第に、聖公会信者の増加により、キングス教会はその役割を失っていきます。1832年にはホーリー・トリニティ教会が完成し、キングス教会は総督専用の礼拝堂に短期間転用されましたが、1813年にはロンドンからの指令により閉鎖されることになりました。市民からの激しい抗議が起こりましたが、教会の利用は一時的に止まりました。

1844年の修復により、キングス教会は市民に再び開放されました。1863年には教会の名称が一時的にクィーンズ教会に変更されましたが、女王の死後は全面的に元の名称を復活しました。1877年には大規模な修復工事が行われ、貴重なステンドグラスが追加されました。

戦争と復興

2度の世界大戦を経てキングス教会は無事でしたが、1951年にはジブラルタル港で発生した爆発事故により、再び被害を受けました。この事故によって教会の屋根やステンドグラスが破壊されました。しかし、その後修復が進められ、1952年には美しいステンドグラスが新たに設置され、教会の外観が一新されました。

現在のキングス教会

現在、キングス教会はイギリス陸軍、海軍、空軍の三軍によって礼拝所として利用されています。1990年に三軍の団結が進み、海軍の司祭が配置されることで、キングス教会が正式な三軍の礼拝所となりました。教会は一般にも開放されており、ローマン・カトリック信者も定期的に使用しています。

キングス教会は単なる礼拝所にとどまらず、ジブラルタルの歴史、文化、そして国際的なネットワークを象徴する重要な役割を果たしています。信者たちへ捧げる礼拝だけでなく、地元住民にとっても重要な場所であり続けています。私たちはこの教会を訪れることで、ジブラルタルの豊かな歴史を感じることができます。

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