キングダムハーツコーデッド

キングダムハーツコーデッド / Re:コーデッド

『キングダムハーツコーデッド』（KINGDOM HEARTS coded）は、かつてスクウェア・エニックスが携帯電話向けに配信していたゲームです。そして、その内容をニンテンドーDS向けにリメイクした作品が『キングダムハーツ Re:コーデッド』（KINGDOM HEARTS Re:coded）として発売されました。

キングダムハーツコーデッド

シリーズ新プロジェクトの一つとして、『キングダムハーツ 358/2 Days』や『キングダムハーツバースバイスリープ』と共に発表された本作は、『キングダムハーツII』のエンディング後の出来事を描く外伝的な位置づけの物語です。『キングダムハーツチェインオブメモリーズ』に近い存在とされ、過去作で描かれなかった王様やリクの行動、そして今後のソラの使命や『KHII』終盤の手紙の内容など、シリーズ全体の謎に迫る重要な側面が明かされます。

ゲームシステムは、携帯電話でのプレイを考慮して操作性が簡略化されており、パズルゲームの要素も含まれています。バトルにおいては、キャラクター強化の「デバッギングモード」や、エピソードごとに変化するミニゲーム風の戦闘システムなど、新たな試みが導入されました。グラフィック面では、マップが3Dで固定アングル、キャラクターが2Dで描かれつつも、携帯電話向けとしては非常に高いクオリティを実現していました。

本作は、2009年 6月3日に携帯電話用ポータルサイト「キングダムハーツモバイル」のメインコンテンツとして配信が開始され、約1ヶ月ごとにシナリオが追加されていきました。しかし、「キングダムハーツモバイル」のサービス終了に伴い、2013年 4月30日に配信も終了しました。なお、これに先立ち、2008年 11月19日にはNTTドコモの特定機種にプリインストール版が登場しています。

キングダムハーツモバイル

『コーデッド』が配信されていた「キングダムハーツモバイル」は、2008年 12月15日から2013年 4月30日まで運営されていた携帯電話向けポータルサイトです。月額課金制で、ミニゲームや待受画像、着信メロディなどをダウンロードできたほか、サイト内のミニゲームで得られるマニーを使ってアバターアイテムを入手し、自分のアバターをカスタマイズする機能がありました。また、このマニーは『コーデッド』内でのアイテム購入にも利用可能でした。開発チームのイメージは「ディズニーランド」だったとされています。

物語（あらすじ）

『キングダムハーツII』での戦いを終え、ディズニーキャッスルに戻ったジミニー・クリケットは、最初の旅の記録であるジミニーメモ1冊目に奇妙な一文を見つけます。それは『COM』での出来事で白紙化していたメモに、突如現れた「彼らの痛みを癒しに戻らなければならない」という見覚えのない文章でした。この謎を解明するため、王様はこのメモをデータ化します。データ化されたメモの世界にバグが発生し、データが見られなくなったため、王様はメモの記録から生まれたデータ世界のソラ、通称「データ・ソラ」に仮想のキーブレードを託し、バグの除去を依頼します。

データ・ソラは様々な世界を冒険し、バグを退治してデータを修復していきます。その過程で、謎の黒コートの男が度々現れ、意味深な言葉を残します。黒コートの男を追ったデータ・ソラは、データ世界に取り込まれていた王様たちと再会し、黒コートの正体がジミニーメモそのものとも言える存在、データ・リクであることを知ります。データ・リクはメモの謎を解くため王様たちを取り込みましたが、ハッキングにより現実世界への道が閉ざされてしまいます。王様たちを現実に戻すため、データ・ソラは回線復旧のために再びバグ退治に赴きます。

順調に進むデータ・ソラの前に、記録にないピートが現れます。スパイ活動中にデータ世界に巻き込まれたピートに呼ばれたマレフィセントは、データ世界を闇で染め上げ、支配を企みます。データ・ソラはキーブレードを破壊され、データ・リクも捕らえられます。データ・ソラが戦えない中、王様が単身最後のバグが残るホロウバスティオンへ向かい、データ・ソラも後を追いますが窮地に陥ります。しかし、駆けつけたドナルドとグーフィーとの「つながる心」によってデータ・ソラ自身の本物のキーブレードが発現し、4人でピートと対峙します。ピートはバグに侵されたデータ・リクを差し向けますが、データ・ソラは彼を救うべく、データ・リクの中へと飛び込みます。

データ・リクから託された追加データを手に、データ・ソラはバグごと心中しようとするデータ・リクを助ける道を選び、彼の深奥の世界でバグを退治します。全てのバグを倒したことでメモは正常化されますが、それは冒険の記録とデータ・ソラ、データ・リクの記憶が消えることを意味しました。悲しむ王様たちに、データ・ソラは記憶は消えても「友達」が覚えていてくれれば思い出せると語り、それを受け入れます。しかしデータ世界は崩壊を始め、データ・ソラはデータに残るピートとマレフィセントを救おうと駆け出します。そこにいたのは、データを喰らい力を付けていた真の元凶、ソラ・ハートレスのデータでした。王様の加勢もあり、データ・ソラは自身の影を倒し、データの修復を完了させます。現実に戻った王様たちのモニターには、「ありがとう、みんな」というメッセージが表示されていました。

メモのデータは復旧しましたが、謎のメッセージの真意は未だ不明です。データ・リクからの知らせで、追加データへの扉が開いたことが分かります。記憶を失ったデータ・ソラを導くため、王様は再びデータ世界へ。記憶は無くともキーブレードを扱えるデータ・ソラは、自身の「真実」に関わると告げられ、新たな世界「忘却の城」へ旅立ちます。城で出会う様々な幻影に戸惑いながらも、記憶を失う「痛み」こそが絆を繋ぎ止める鍵だと悟るデータ・ソラ。黒コートの男はその「痛み」が闇に落ちると告げますが、データ・ソラは迷いを振り切り、絆の力で立ち向かいます。黒コートの正体はデータ・ロクサスであり、データ・ソラの覚悟を試す試験官でした。役目を終えたデータ・ロクサスは「あの夏休み」を思い描き消えていきます。

忘却の城最上階でデータ・ソラと王様が出会ったのは、ナミネのメッセンジャーであるデータ・ナミネでした。ナミネはソラの記憶修復中に、ソラの中に眠る危険な「痛みの記憶」を発見し、痛みに打ち勝つ方法を見つけてもらうべくメッセージを残したことがバグの原因でした。データ・ソラがその方法を見出したことを確認したデータ・ナミネは、痛みの記憶、すなわちXIII機関の2人、ナミネと見知らぬ少女、そして王様の友人である3人のキーブレード使いの存在を見せます。彼らを救うためにはソラの力が必要であり、王様は現実のソラに全てを伝えることを約束します。データ・ソラは現実の自分が伝えられなかった「ありがとう」をデータ・ナミネに伝えます。

現実に戻った王様は、デスティニーアイランドのソラたちに手紙を送ります。これが新たな旅の始まりとなります。その後、王様はイェン・シッドからマスター・ゼアノートの復活と、対抗策としてのマスター承認試験の実施を聞かされます。一方、人間として再生したXIII機関のメンバーたちの元には、謎の少年が現れ密かに行動を開始していました。

キングダムハーツ Re:コーデッド

『キングダムハーツ Re:コーデッド』は、『コーデッド』をニンテンドーDS向けにリメイクした作品で、2010年 10月7日に発売されました。オリジナル版は対応機種が限定され、海外展開も困難だったため、より多くのユーザーにゲームを届けるべく、当時広く普及していたニンテンドーDSでのリメイクが決定しました。

物語やイベントシーンは携帯版とほぼ同じですが、ゲームシステムは全面的に刷新されました。開発チームは「携帯ゲーム機のKHの集大成」を目指し、『コーデッド』に加え、『キングダムハーツ 358/2 Days』や『キングダムハーツバースバイスリープ』の要素を取り入れています。大きな変更点としては以下の点が挙げられます。

テーマ曲が宇多田ヒカル氏の「光」に変更され、シリーズのダイジェスト映像を含むオープニングムービーが追加されました。
キャラクターの表示が3Dモデルになり、カメラも従来の追尾式に変わりました。
バトルシステムは『BbS』のデッキコマンドとフィニッシュコマンドをベースに再構築され、コマンド合成システムも搭載されました。
成長システムは『Days』のパネルシステムを発展させた「ステータスマトリックス」となり、すごろくのようにチップを配置して成長させる方式になりました。難易度調整が可能な「チート」項目も追加されています。
装備システムが変更され、シナリオ進行でキーブレードが入手可能になり、「デコレーションマトリックス」でアクセサリと共に装備できるようになりました。これにより、オリジナル版のデバッグアビリティやアイテム合成は廃止されました。
システムエリアが追加され、シナリオ中のバグ発生箇所から突入し、バグエネミーを倒してエリアを修復するようになりました。オリジナル版の「エリアデバッグモード」は削除されています。
シナリオ中の会話表示が、キャラクターの全身絵とフキダシを用いた形式に変わりました。
ワールドクリア後にアイテム捜索を依頼されるクエストが追加されました。
BGMが追加・変更され、特に「忘却の城」やボス戦では過去シリーズの楽曲が多く使用されています。
ソラたちメインキャラクター以外にも、多くのキャラクターにボイスが追加されました。
特定の条件達成で獲得できるトロフィー機能（全30個）が追加され、20個集めるとシークレットムービーが解禁されます。
新たなシークレットムービーが追加されました。

また、2014年に発売された『キングダムハーツ HD 2.5 リミックス』には、本作の物語が約3時間の映像作品としてリメイクされ収録されています。DS版のイベント映像に加え、ディズニーワールドを中心とした新規映像が多数制作されました。

主な登場キャラクター

データ・ソラ: ジミニーメモの記録から生まれた、データ世界のソラ。現実のソラと同様、明るく前向きな性格。当初は仮想のキーブレードを使うが、後に本物のキーブレードに目覚める。
王様（ミッキー）: ディズニーキャッスルの王様で、キーブレードの勇者。データ世界のソラを導くが、自身もデータ世界に取り込まれる。
データ・リク: データ世界のリク。ジミニーメモ全体の記録を宿しており、ある意味メモそのものとも言える存在。謎を追って行動する。
ジミニー・クリケット: ソラの旅を記録するコオロギ。彼の記したジミニーメモが物語の発端となる。
ピート / マレフィセント: ディズニーの悪役。データ世界に巻き込まれ、その支配を企む。
データ・ロクサス: 忘却の城に現れる黒コートの男の正体。データ・ソラの覚悟を試す。
データ・ナミネ: 忘却の城のナミネ。ジミニーメモにメッセージを残した張本人。ソラの中に眠る「痛みの記憶」の存在を明かす。

主なスタッフ

ディレクター / コンセプトデザイン / シナリオ原案 / キャラクターデザイン：野村哲也
音楽：下村陽子
シナリオ：渡辺大祐他
プロデューサー：大日方可功子
エグゼクティブプロデューサー：橋本真司

もう一度検索

キングダム ハーツ コーデッド