キンタル

キンタル（クインタール）とは

キンタル（quintal）は、かつて世界各地で使用されていた質量の単位です。国や地域によって定義が異なり、基本となる単位（ポンドやキログラムなど）の100倍と定義されることが多いですが、歴史的な経緯から100倍ではない値を用いる国も存在します。また、centner（ツェントネル、セントナー）という名称もキンタルと同じ意味で使用されます。

名称の由来

キンタル、セントナーという名称は、どちらもラテン語で「100」を意味する「centenarius」を語源としています。

「centenarius」から「キンタル」に変化する過程は複雑で、

1. 後期ラテン語: centenarium pondus
2. 後期ギリシャ語: kentenarion
3. アラビア語: qintar
4. 中世ラテン語: quintale
5. 古フランス語: quintal

と変化しました。一方、「セントナー（centner）」は、「centenarius」をそのままドイツ語化したものです。アラブ社会では現在も「キンタル（qintar）」が使われており、この単位はアラブの貿易商によってヨーロッパに再輸入されました。

キンタルの量

ヨーロッパ諸国では、古代ローマの質量単位「リーブラ（ローマポンド）」が基本単位となっており、1リーブラは約500gです。そのため、1キンタルは50kg前後になることが一般的です。

英語圏では「quintal」も「centner」も「ハンドレッドウェイト」の別名として使われます。ハンドレッドウェイトは当初、100ポンド（約45.36kg）でしたが、イギリスでは後に112ポンド（約50.84kg）に変更されました。フランスでは、100リーブル（フランスポンド、約48.95kg）でしたが、メートル法導入後は100kgに改められました。スペインでは100リーブラ（スペインポンド、約46.10kg）であり、ポルトガルでは128リーブラ（ポルトガルポンド、約58.75kg）でした。

メトリック・キンタル

「メトリック・キンタル」または「キンタル・メトリコ」は、100kgと定義されています。これは10分の1トンに相当しますが、SI単位（国際単位系）ではありません。フランスでメートル法導入に伴い制定され、アメリカ合衆国でも1866年に公式に採用されました。アメリカでは穀物の計量などで使用されますが、一般的には100ポンドのキンタルが用いられています。ドイツやアラブ諸国などでは、伝統的なキンタルに近い50kgをメトリック・キンタルとして使用している場合もあります。

各国のキンタルの例

イギリス: 112ポンド (約50.84 kg)
フランス: 100 kg（メートル法導入後）
スペイン: 100リーブラ (約46.10 kg)
ポルトガル: 128リーブラ (約58.75 kg)
* アメリカ合衆国: 100ポンド（約45.36 kg）もしくは100kg（メトリックキンタル）

このように、キンタルは国や地域によって様々な定義がなされてきました。現在では、キログラムやトンといったSI単位が広く使用されていますが、歴史的な単位としてその名残が見られます。

もう一度検索