キンメダイ

キンメダイ（Beryx splendens）について

キンメダイは、キンメダイ目に属する深海魚で、その名は鮮やかな金色の目によって日本語で「金目鯛」とも呼ばれています。この魚は主に太平洋、大西洋、インド洋の熱帯から温帯にかけて広く分布しており、水深200mから800mの環境で多く見られます。生存時の体色は背中が赤色、腹側が銀色を呈し、死後は全体が赤くなる特徴を持っています。特に、キンメダイの目にはタペータムと呼ばれる特殊な組織があり、これは光を反射して金色に見えることから、名前の由来となっています。

生態

キンメダイは主に小魚や甲殻類、オキアミなどを食べて生活しています。特筆すべきは、その視覚による狩猟能力です。キンメダイの目の構造は、視軸が斜め上向きであるため、奥行き感覚が極めて高く、深海の薄明かりの中でもエサを見つけることができるのです。しかし、視覚に頼るため、目の下にいるエサに対しては反応しない傾向があります。また、主な天敵にはサメやイルカがいます。

近似種

キンメダイ属にはキンメダイの他に、ナンヨウキンメやフウセンキンメといった種類も存在します。これらの魚は体型や特徴がわずかに異なるため、識別が重要です。特にフウセンキンメはかつて同じ種とみなされていましたが、現在は別種として認識されています。フウセンキンメの食味はキンメダイに比べて劣るとされ、市場での価格もやや低めです。しかし、切身として流通する際には、キンメダイとして取引されることも多いため、注意が必要です。

利用法

日本におけるキンメダイの漁獲量は5477トンに達し、その生産額は76億円にも上ります。キンメダイは高値で取引されており、底魚漁において非常に重要な存在です。ただし、資源の枯渇が懸念されているため、各地で資源管理が行われています。特に日本近海で捕獲されるキンメダイは水揚げ量が少なく、入手は容易ではありません。

キンメダイの旬は冬ですが、四季を通じて脂がしっかりのっているのが特徴です。多様な料理法で楽しむことができ、特に煮物にするとその美味しさが引き立ちます。その柔らかい身は小骨も少ないため、老人や子供でも食べやすい一品です。ただし、冬季の荒天の影響や漁師の減少により、価格が高騰し流通量が減少しているのが現状です。日本各地では、伊豆の「稲取キンメ」や房総半島の「外房つりきんめ鯛」、伊豆諸島の「東京ブランド「きんめだい」」など、ブランド化が進められているため、さらなる価値が付加されています。

調理法は多岐にわたり、刺身や煮魚、干物、味噌漬け、粕漬け、さらには酒蒸しや鍋物、ブイヤベース、ムニエルなど、様々なスタイルで楽しむことができます。

人間との関わり

食材としての側面では、キンメダイには微量の水銀が含まれているため、特に妊婦は摂取に注意が必要とされています。厚生労働省は、キンメダイを妊婦が食べる際の推奨量を約80gとし、週に1回までが目安とされています。安全に楽しむためには、食材選びが重要です。

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