キートンの大列車追跡

キートンの大列車追跡

『キートンの大列車追跡』（原題: The General）は、1926年に公開されたサイレント映画で、アメリカの喜劇映画の中でも特に有名な作品です。主演はバスター・キートンが務め、彼自らとクライド・ブルックマンが監督を担当しました。本作は、南北戦争時の実際の出来事「グレイト・ロコモーティヴ・チェイス」に基づいており、ウィリアム・ピッテンガーの小説を原作としています。キートンはこの映画を彼の作品の中でも最高のもののひとつと位置づけており、特に『海底王キートン』（1924年）と並べてその完成度を称賛しています。

あらすじ

物語は1861年に設定され、ウェスタン＆アトランティック鉄道で機関士として働くジョニー・グレイ（バスター・キートン）は、運転する蒸気機関車「将軍号」と恋人アナベル・リーに心を奪われています。彼の人生は、南北戦争の発端によって一変します。ジョニーはアナベルの兄と父が軍に参加することを決めたため、自らも志願しますが、軍からの入隊拒否を受けます。彼はその理由を知らずにいるため、アナベルにまで冷たくされてしまいます。

1年後、北軍の将軍と大尉が南部に計画した列車強奪作戦が実施される日、ジョニーはアナベルと共に「将軍号」を運転しています。だが、その列車は北軍によって奪われ、アナベルも奪取されてしまいます。彼女の行方を知らないジョニーは、列車を追跡するために奮闘します。南軍への連絡を試みるも、形勢は逆転し、ジョニーは北軍との壮絶な攻防戦に巻き込まれていくのです。

製作とロケーション

本作の製作にあたって、キートンは実際の「将軍号」を使いたいと願ったものの、所有者に断られました。歴史的な背景を再現するため、撮影地はオレゴン州のコテージグローブに選ばれ、装飾や機材の調達が行われました。地元住民がエキストラとして参加し、戦闘シーンではオレゴン州の州兵も動員されました。

評価と影響

公開当初、本作は興行的な成功を収めることはありませんでしたが、後に映画評論家や観客から高い評価を得るようになります。特に1967年には映画保存協会の選ぶ「映画史上のコメディ・ベスト10」で第2位に選ばれるなど、時を経てその価値が再確認されています。オーソン・ウェルズもこの作品を「史上最高のコメディ」と称賛しました。さらには、久石譲やカール・デイヴィスによる音楽付きの最新バージョンも続々と制作され、幅広い世代に親しまれています。

まとめ

『キートンの大列車追跡』は、ただの喜劇映画という枠を超えて、戦争の緊張感と人間の感情を織り交ぜた秀逸な作品です。バスター・キートンの独自の演技と物語の展開は、今なお観客に新たな感動を与え続けています。

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