キール (カクテル)

キール (Kir) とは

キールは、フランスのブルゴーニュ地方で生まれた、白ワインをベースにしたカクテルです。少量のカシスリキュール（クレーム・ド・カシス）を加えることで、フルーティーな甘みと美しい色合いが楽しめます。ヴァン・ブラン・カシス (vin blanc cassis) とも呼ばれます。

歴史

キールは、第二次世界大戦後のディジョン市長、フェリックス・キール (Felix Kir) によって考案されました。戦後、ブルゴーニュワインの販売不振に悩んでいた地元経済を活性化させるため、彼は地元の特産品であるアリゴテ種の白ワインとカシスリキュールを使ったカクテルを考案し、ディジョン市の公式レセプションで提供するなどPR活動を行いました。

このカクテルは、食前酒として親しまれ、「ディジョン市公式カクテル」として広まりました。いつしか、市長の名前にちなんで「キール」と呼ばれるようになったのです。1960年代にはヨーロッパ中で広く飲まれるようになり、小説などの文学作品にも登場しました。

日本においては、バーよりもレストランで先に広まったという珍しい経緯を持ちます。1970年代にワインが一般的に飲まれるようになり、レストランが食前酒としてキールを推奨したことがきっかけでした。その後、1980年代になってバーでも提供されるようになりました。

標準的なレシピ

白ワイン：カシスリキュール = 4：1 〜 9：1

作り方

1. カシスリキュールをワイングラスに注ぐ。
2. よく冷やした辛口の白ワインを静かに注ぎ、軽くステアする。

ポイントは、材料をよく冷やしておくこと。氷は入れずに、冷えたグラスで提供するのがおすすめです。

備考

本来は、ブルゴーニュ産のアリゴテ種の白ワインと、クレーム・ド・カシスを使用します。
白ワインとカシスリキュールの割合は、好みで調整できます。カシスリキュールの量を減らすと辛口に、増やすと甘口になります。
カシスリキュールを入れすぎるとワインの風味が損なわれるため、控えめに入れるのが良いとされています。
白ワインは、辛口（ドライ）なものが推奨されます。
グラスは、ワイングラスの他、フルート型のシャンパングラスやゴブレットも使用できます。

バリエーション

キール・ロワイヤル (Kir Royal)：白ワインをシャンパンに変えたもの。より華やかな味わいです。
マルキ (Marquis)：カシスリキュールをフランボワーズリキュールに変え、白ワインをミュスカデに変えたもの。
キール・カーディナル (Kir Cardinal)：白ワインを赤ワインに変えたもの。ボジョレーを使う場合もあります。
キール・ブルトン (Kir Breton)：白ワインの代わりにブルターニュのシードルを使ったもの。
キール・サヴォワイアール (Kir savoyard)：白ワインとしてサヴォワ産のワインを使ったもの。
キール・パンプルムース (Kir Pamplemousse)：白のスパークリングワインにレッドグレープフルーツのリキュールを加えたもの。
キール・ペーシュ (Kir Pêche)：ピーチリキュールを使ったもの。

関連したカクテル

フォー・キール (Faux Kir)：「偽物のキール」という意味のノンアルコールカクテル。ラズベリーシロップとグレープジュースで作られます。

キールは、その手軽さと多様なバリエーションで、世界中で愛されているカクテルです。ぜひ、色々なレシピを試して、自分好みのキールを見つけてみてください。

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