キ40 (航空機)

キ40 - 大日本帝国陸軍の未製造偵察機

キ40は、大日本帝国陸軍が企画した司令部偵察機であり、実際には製造に至っていない機体である。この偵察機の計画は、1937年に陸軍の研究方針が改正されたことを受けて始まり、三菱重工業にその開発が依頼された。この機体には「キ40」という番号が与えられた。

機体の設計意図

このキ40は、航空撃滅戦における重要な役割を果たすことを想定した長距離高速偵察機として設計された。具体的には、水平速度と高高度性能を重視し、行動半径を標準で400 kmとして設定しつつ、最大で500 kmまで拡大可能な設計がなされていた。また、旋回機関銃を1挺搭載し、小型の航空写真機や無線装備も整備される予定で、複座機としての機能を持つことが想定されていた。

開発の中止

しかし、キ40の開発が進む中で、同じ時期に試作されていたキ15が、1937年に暫定的な司令部偵察機として「九七式司令部偵察機」として仮制式に採用されることとなった。このため、三菱重工業でのキ40の開発は、基礎研究の段階で止まってしまい、最終的には中止されることとなった。これにより、キ40は未製造機としての歴史をたどることとなる。

関連する機体

また、同時期に三菱重工業において開発が命じられた計画機である「キ39複座戦闘機」とは、姉妹機とされることもある。キ40の設計が中止されたことによって、航空機の開発における三菱の役割は変化したが、戦略的なニーズに応じた他の機体が歩を進めていくこととなる。

このように、キ40は、その理想的な性能と用途を持ちながら、実現することがなかった機体として、航空機歴史に名を刻むこととなった。大日本帝国陸軍が計画した様々な機体の中でも、特に興味深い事例となっている。

参考文献

1. 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年、57頁。ISBN 978-4-87357-233-8。
2. 歴史群像編集部 編『決定版 日本の陸軍機』学研パブリッシング、2011年、39頁。ISBN 978-4-05-606220-5。

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