九七式司令部偵察機

九七式司令部偵察機（きゅうななしきしれいぶていさつき）

九七式司令部偵察機は、大日本帝国陸軍が開発した偵察機で、試作名称はキ15、略称として九七式司偵や司偵などとも呼ばれています。この機体は、連合軍によって「Babs」というコードネームが付けられました。製造を担ったのは三菱重工業であり、帝国陸軍における初の司令部偵察機として、また、戦略偵察機としての役割を果たしました。支那事変の早期からノモンハン事件や太平洋戦争の初期に至るまで活躍し、後継機である一〇〇式司令部[[偵察機]]が登場するまでの間、その重要な任務を担いました。

開発の経緯

九七式司令部偵察機の開発は、1935年に始まりました。陸軍航空技術研究所の藤田雄蔵中佐などが提案したもので、偵察機の新しいコンセプトとして速度を重視しました。役立つ要求事項としての常用高度2,000～4,000m、行動半径400km以上、最大速度450km/h以上などが設定されました。この方針に基づき、三菱の河野文彦技師が設計を担当し、機体の空気抵抗を減少させる方向で進められました。

試作1号機は1936年5月に完成し、陸軍による審査を経て、最大速度480km/hと高い性能が実現されたものの、操縦者の視界や離陸距離の長い点が問題視されました。その後、1937年には改修された試作2号機がテストされ、同年5月には九七式司令部偵察機として正式に採用されました。

その後、エンジンを置換し性能向上が図られ、1939年には二型としての採用が決まりました。製造は1936年から1941年にかけて行われ、439機の生産が記録されています。

機体設計

この機体は、空気抵抗を削減するために流線形のデザインが採用され、その結果以前の日本陸軍機よりもスタイリッシュな形状となっています。全金属製の機体は滑らかな仕上げが施され、低翼単葉機の設計を採用しました。固定脚ながらも流線型のスパッツを取り入れ、空気抵抗の軽減を図る工夫が見られました。

二型ではエンジン換装によって外観が変更され、よりスマートな印象となった点が際立ちました。機体の重量は増えつつも、離着陸時の滑走距離が短縮されたことが評価されました。

運用実績

制式採用後、九七式司令部偵察機は支那事変での中国大陸深部の戦略拠点の偵察任務に活躍し、その高速性能を生かして情報収集に寄与しました。しかし、太平洋戦争開戦時には他国の戦闘機との競争に直面し、次第に犠牲が増えたため、一〇〇式司偵に役割を譲ることとなりました。その後は連絡機への転用が図られ、1943年まで現役を務めました。

海軍への転用

また、海軍もこの機体に着目し、改良された陸上偵察機を開発しました。九八式陸上偵察機として採用し、太平洋戦争の初期には中国大陸や南方の偵察に用いられました。

神風号

神風号として知られる試作2号機は、1937年に朝日新聞社による欧州連絡飛行に活用されました。この飛行は国際的な注目を集め、記録的な成果を収めました。東京からロンドンまでの距離を約94時間で飛行し、その飛行の記録は日本全体に感動を与えました。後にこの機体は通信機として活用され、1940年代には神風記念館に展示されるなどして、歴史の一部としての地位を確立しました。

結論

九七式司令部偵察機は、日本の航空史において重要な役割を果たし、そのデザインや運用の革新性は後の航空機開発に影響を与えました。特に神風号としての欧州連絡飛行は、その成し遂げた偉業によって、国民に誇りと希望を与えるものとなりました。

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