キ74 (航空機)

キ74: 大日本帝国陸軍の偵察爆撃機

概要

キ74は、第二次世界大戦の後期に試作された大日本帝国陸軍の偵察爆撃機です。設計および製造は立川飛行機によって行われ、当初はソビエト連邦向けの長距離偵察機として開発が進められました。しかし、その後、戦略的爆撃を行える高高度偵察爆撃機へと仕様が変更されました。この機体は、連合国によって「Patsy」というコードネームで呼ばれていました。最終的に、キ74は14機が製造されましたが、実戦には参加することなく終戦を迎えました。

開発経緯

1939年に日本陸軍は、立川飛行機に対して長距離偵察機の開発を命じました。目指していたのは、バイカル湖西岸に到達できる機体でした。その後、一時的に開発は中断され、その技術が少しずつキ74に転用されることとなります。1941年の4月に基礎設計が再開され、設計主任には小口宗三郎氏が起用されました。

また、前の設計と共通する部分が多く、両機は外観が非常に似通っていました。新たに求められたのは、5,000メートルから10,000メートルの高高度性能の強化や最大速度の向上、さらには爆撃能力と防御武装の追加です。この影響で当初の計画から大幅な遅延が生じました。そして、試作機の初飛行は1944年5月25日に行われましたが、当時の技術的な制約から正式な運用審査は1945年にずれ込む結果となりました。

機体の特性

キ74には、従来の日本機には見られない独特なコックピット形状があり、胴体下部には爆弾倉を装備していました。特に与圧式キャビンを採用しており、視界に関しては不利な設計となっていました。顕著な仕様としては、捕獲したB-17のノルデン爆撃照準器を用いて、日本の技術で改良した10型照準器を搭載している点が挙げられます。

性能と運用の課題

試作機1号機の性能審査では、エンジンの不具合や与圧キャビンの運用の難しさがあったものの、操縦性や運動性は良好でした。残念ながら、この機体は1944年7月に飛行中に事故を起こし大破しました。最大速度については軍の要求を満たすことはできませんでしたが、航続距離は6000kmに達し、陸軍は爆撃機の主力としての使用を決定しました。

陸軍の計画とその後

当初、キ74を利用した中南米攻撃計画がありましたが、実用性に疑念が生まれ、サイパン島に対する攻撃計画に変更されました。1945年9月1日に実施予定だったものの、終戦により実現することはありませんでした。終戦時には、キ74の試作機の中で4機が残存しており、アメリカ軍に引き渡された後、1機は博物館に展示されましたが、その後行方が分からなくなっています。

派生機

キ74にはいくつかの派生型が存在しました。例えば、日独連絡飛行用のキ74特や、長距離爆撃機型のキ74-IIなどがあります。これらはそれぞれ異なる目的で設計されましたが、いずれも終戦によって実現することはありませんでした。また、本機を用いた爆撃の計画も数多くありましたが、運用には最後まで至ることはありませんでした。

まとめ

キ74は、開発過程でさまざまな試行錯誤が行われた偵察爆撃機であり、戦局が厳しい中で日本陸軍が予想していた戦略的役割を果たすことに挑みましたが、戦争の終焉によってその能力を発揮することなく歴史の一部となりました。

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