キ77 (航空機)

キ77 - 日本陸軍の双発研究試作機

日本陸軍と朝日新聞社の共同プロジェクトとして開発されたキ77は、長距離飛行を目的とした双発研究試作機です。この機体は立川飛行機と東京大学航空研究所によって設計され、実際に製造されたのは2機のみです。通称A-26の名称は、朝日新聞の「A」と、皇紀2600年の26を合わせたものです。

開発の背景

1940年、朝日新聞社は皇紀2600年を記念して東京からニューヨークへの親善飛行を計画しました。この企画に際して、東大航空研究所に開発を依頼し、著名なパイロットたちがプロジェクトに参加しました。しかし、日米関係の悪化により一度は開発が中断されました。しかし、その後軍部からの要請を受けて、長距離飛行性能への期待から開発が再開されました。これは、長距離戦略爆撃機キ74の開発に役立てるためであり、主要な構造が共通するように設計されています。

1942年には2機が完成し、1944年11月18日にテストパイロットによる初飛行が行われました。開発過程では、当初の管理体制での失敗が反省され、以降は航空機メーカー主導のものに転換されました。

機体設計

キ77の胴体は与圧式を採用予定でしたが、技術的な課題から断念されました。機体デザインは流線型であり、直進安定性を向上させるためにドーサルフィンが搭載されています。主翼には国産初のインテグラルタンクが採用され、燃料漏れ対策などが行われましたが、1号機では多量の補修が必要でした。2号機では工法を見直すことでこの問題を解決しています。

エンジンは中島製のハ一一五系エンジンを使用していましたが、冷却に問題がありました。1号機は特に記録飛行前に改修が行われた経緯があります。

長距離飛行とその後

1943年、キ77はドイツへの連絡飛行に使用されることが決まり、二号機が選ばれました。飛行は昭南経由で行われる予定でしたが、途中で消息不明となり、詳細は不明です。一方、1号機は1944年7月に周回航続距離世界記録を樹立し、57時間で16,435kmを飛行しましたが、これは戦時中の記録であったため未公認となっています。

戦後、キ77は甲府飛行場に放置されましたが、アメリカ軍の要請により修理され、空母に載せられました。修理は後にプリンス自動車技師となる田中次郎氏の指導のもと行われました。しかし、戦後に到着した際には既に大破した状態でした。1949年にはスクラップにされ、その後の資料は国立科学博物館や航空科学博物館に保存されています。キ77の設計資料をもとにした著作も多く残されており、当時の技術と開発の趣を伝えています。

参考文献

• - 安藤亜音人『帝国陸海軍軍用機ガイド1910-1945』
• - 福本和也著『悲劇の翼A-26』

この機体に関連する作品も多く、各種メディアでその歴史が語られています。

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