インテグラルタンク

インテグラルタンクの特徴と利用

インテグラルタンクは、航空機において特徴的な燃料タンクの形態を示します。このタンク形態は、wet wingとも呼ばれ、主翼や胴体の内部をシーラントによって水密化し、その構造自体を燃料タンクとして利用する仕組みです。この方法により、別のタンクを設ける必要がなくなり、機体の軽量化が図れます。また、構造部分の内部に大容量の燃料を搭載できるため、特に長距離航空機において高い効果を発揮します。現代の多くの旅客機に採用されており、効率的な燃料収納方法の代表的存在となっています。

インテグラルタンクと他のタンクの違い

インテグラルタンクと比較して、一般的な燃料タンクには金属製のタンクや、ゴム製のブラダタンクといった形式があります。これらのタンクは、いずれも独立した構造であるため、インテグラルタンクに比べて重量が増え、燃料の搭載効率も低くなる傾向があります。

防弾の観点からは、セルフシーリングタンクが一般的です。これには外装式と内装式があり、外装式はタンクの外側を積層ゴムで覆う方式、内装式はタンクの内側にゴム袋を使用する方法です。内装式は、日本の零戦で採用されていたカネビアン内袋式タンクがその一例です。ただし、これらのセルフシーリングタンクも、20mmクラス以上の大口径機関砲に対してはその防御効果が限られているため、完全な防御策とは言い難いのが現実です。

軍用機におけるインテグラルタンクの利用

インテグラルタンクは必ずしも防弾設計ではないため、撃たれた際に燃料が漏れ出すと爆発や炎上を引き起こすリスクがあります。このため、一般的に軍用機には不向きとされていますが、特定の運用方法を採用すれば一定の効果が期待できることもあります。例えば、敵と対峙する前にタンク内の燃料を使い切ることが考えられます。

現代におけるインテグラルタンクの例

インテグラルタンクは、燃料の搭載効率が非常に高いため、最新のジェット旅客機の燃料タンクのほとんどがこの形態を採用しています。特に日本海軍の攻撃機、一式陸上攻撃機（一式陸攻）は、このインテグラルタンクの技術により、双発機として驚異的な航続力を得ることができました。この設計は、軽量かつ大容量という特性のおかげで、地政学的な状況から長距離飛行が求められる軍用機にとって最適な選択肢でした。ただ、こうした設計は、結果的に当時の日本の人命軽視の象徴とも受け取られることになります。

技術の制約

さらに、当時の日本においては、四発の陸上攻撃機や爆撃機の開発が技術的に困難であったため、一式陸攻のようなインテグラルタンクを活用した設計が、より多くの成果を上げる結果となりました。これは、当時の日本が抱えていた技術的制約と、戦術的要求の交差点に位置する重要な選択肢だったと言えるでしょう。

関連項目

• - 増槽：航空機の外部に取り付ける追加の燃料タンク。
• - ウェルタンク：タンク式蒸気機関車における水タンクの一形態。

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