キ82 (航空機)

キ82重爆撃機計画

キ82は、大日本帝国陸軍によって計画された重爆撃機であり、実際の製造には至りませんでした。この機体の設計は1940年に始まり、当初、陸軍航空本部による研究方針に基づいて、既存の重爆撃機と同様の速度を追求していました。陸軍はこの機体を「重爆乙」と位置付け、同年の5月には中島飛行機に対して試作の指示を出しました。

計画の概要

計画されたキ82の特徴としては、双発または三発エンジンの搭載があり、最大速度は670 km/h、常用高度は5,000から8,000メートル、行動半径は最大で1,500 kmプラス2時間とされました。初期の予想では、1942年の11月に試作機が完了し、翌年の7月には審査を完了させる予定でした。

中島飛行機は1940年の12月から研究に着手しました。設計案は2つあり、最初の案「キ82甲」では、中翼配置の双発機として中島「ハ45」や「ハ145」型の空冷星型18気筒エンジンを予定していました。一方、第二案「キ82乙」では、液冷W型18気筒エンジン「ハ39」を搭載し、翼面冷却が採用されていました。

各エンジンの性能も考慮され、最大速度はキ82甲の場合650 km/h、キ82乙の場合650から670 km/hが期待されていました。最終的に試作機に搭載されるエンジンは、ハ45やメタノール噴射式に改良されたハ45Mが選ばれ、増加試作機にはハ145が使用されることになりました。キ82乙は研究開発の段階で、特に進展することなく終息しました。

開発の中止

1942年の3月には、1943年6月からハ45を装備した実験機を3機、1944年3月からハ145を位置付けた試作機を3機および増加試作機5機を作成する計画が立てられました。しかし、四式重爆撃機の開発が順調に進む中で、キ82の試作は中止され、実大模型のみが製作されることになりました。

派生型と協同計画

また、キ82はその性能向上型も計画されており、三菱の空冷星型エンジン「ハ211」を装備し、最大速度を670 km/hに引き上げる案も存在しました。この案も1943年8月末までの試作機完成を目指していましたが、こちらも実現には至りませんでした。さらに、陸軍航空技術研究所の下で行われたドイツとの協同計画もあり、ここではキ82を基にした新しい高速重爆撃機が提案されましたが、具体的な設計には至らず、計画は終了しました。

キ82の基本情報

計画されたキ82甲の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長：15.65 m
• - 全幅：19.25 m
• - 全高：4.65 m
• - 主翼面積：45.0 m²
• - 全備重量：9,500 - 9,950 kg
• - エンジン：中島 ハ45 空冷星型18気筒（離昇1,800 hp）×2
• - 最大速度：580 km/h（実験機）、650 km/h（試作機）
• - 航続距離：3,000 km + 2時間（要求値）
• - 常用高度：5,000 - 8,000 m（要求値）
• - 武装：九八式旋回機関銃（7.92 mm）×2、12.7mm旋回機関砲ホ103×1、爆弾標準750 kg、最大1,000 kg
• - 乗員：4名

このように、キ82は大日本帝国陸軍が期待した重爆撃機のひとつでありながら、最終的には試作に至らなかった計画の一環として記憶されています。

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