ギザの大スフィンクス

ギザの大スフィンクス

ギザの大スフィンクス、一般には単に「スフィンクス」と呼ばれるこの巨大な石像は、古代エジプトのカイロ郊外に位置し、三大ピラミッドの近くにそびえています。この彫像は、カフラー王の命により紀元前2500年ごろに創られたとされ、スフィンクスの姿は人間の頭部とライオンの体を持ち合わせています。現地のアラビア語では「أبو الهول（Abu al-Haul）」と呼ばれ、その意味は「畏怖の父」です。

彫像の特徴

スフィンクスの全長は73.5メートル、全高は20メートル、全幅は19メートルであり、単一の岩から彫り出されたことから、世界最大級の彫像とされています。石灰岩で作られたこの像は、かつての海底に堆積した生物の遺骸が時間をかけて硬化して形成された地層から切り出されて制作されました。彫刻は純銅の道具や石のハンマーを用いて、非常に長い時間を費やして行われたと考えられています。

ギザ台地は、もともと海底であったため、石灰岩は硬い層と柔らかい層が交互に重なっています。スフィンクスの胴体の凹凸は、この異なる硬度の層が風化によって削り取られた結果です。また、ギザ台地の石灰岩には塩分を多く含むため、表面の劣化も進行しやすく、大スフィンクスは建造以来、何度も修復を施されてきました。

起源と建設の背景

歴史的には、スフィンクスの建設はカフラー王の時代に関連付けられています。いくつかの根拠が示されており、特にスフィンクスの前足の間から発見された碑文や、顔がカフラーそのものであることが指摘されています。しかし、これらの証拠には異論もあり、さらにクフ王によって建設された可能性や、より古い時代にさかのぼる見るべき反論も存在します。

例えば、考古学者ロバート・M・ショックは、降雨による浸食の痕跡を根拠に、スフィンクスが紀元前7000年頃に建造された可能性を指摘しました。この推測にはさらなる議論があり、滑らかな肉体と顔のバランスが悪いとして後に彫り直されたという意見も出ています。

歴史的な役割と象徴

大スフィンクスは、古代エジプトでは「西方の守護者」として、多くの王に崇敬されました。アビュドスでの考古学的発見からは、スフィンクスの建造がピラミッドの近くに王の権力を象徴するために設置されたという説が浮上しています。また、ホルスという神の象徴でもあり、「地平線におけるホルス」としても知られています。

スフィンクスは、長い歴史の中で何度も砂に埋もれることがあり、18王朝のトトメス4世によって埋もれた砂を取り除かれ、その際に夢の碑文が設置されました。以降も修復が進められ、ローマ支配下やナポレオンの時代にも手を加えられました。1926年には完全に発掘され、その後の修復作業が行われています。

現在の状況

近年、スフィンクスはさらに調査が進められ、内部には空洞があることが確認されました。また、近隣地域の開発が進む中、生活廃水の影響で地下水位が上昇していることも懸念されています。スフィンクスはその神秘的な存在と共に、古代エジプトの歴史を語り続けています。

スフィンクスを題材にした文化

ギザのスフィンクスは、アート作品や映画にも登場しており、多くの人に影響を与えています。1839年に描かれたデビッド・ロバーツの『熱風の接近』や、1980年の映画『スフィンクス』など、様々な形でその存在は多くの作品に取り入れられています。

もう一度検索