ギザ十

ギザ十の歴史と特徴

ギザ十（ぎざじゅう）は、日本の十円硬貨の一種で、1951年から1958年の間に発行されていました（ただし1956年は未発行）。この硬貨は、特に周囲に多数の溝（132本）が施されていることから「ギザ十」と広く呼ばれています。

十円玉の基本情報

• - 直径: 23.5mm
• - 品位: 銅95%、亜鉛4-3%、錫1-2%
• - 重量: 4.5g

発行の背景とギザの意味

ギザ十の製造は、当初は十円紙幣（A拾圓券）と交換可能な十円洋銀貨を発行する計画から始まりました。しかし、朝鮮戦争の影響によりニッケルの価格が急騰したことから、洋銀貨の発行が中止されることとなります。そこで、青銅素材が選ばれ、当時の50円銀貨のデザインを流用してギザ十が製造されました。

ギザが施されている理由は、過去に金貨や銀貨で行われていた金属の盗難防止のためです。このアイデアは、アイザック・ニュートンが考案したとも言われています。しかし、銅や白銅などの低価値の金属で造られたギザ十には、特に装飾的な意味しかなく、このギザは他の同時代の硬貨にも見られました。

発行時の状況

ギザ十は最初の発行日から1955年8月まで、日本で最高額面の硬貨として流通していました。その後、五十円硬貨（1955年）や百円硬貨（1957年）の登場により、硬貨の種類が増え、ギザ十の認識が難しくなったため、1959年以降の十円硬貨からはギザが取り除かれることになりました。その結果、ギザのある硬貨は「ギザ十」としてコレクターの間で別の名称で親しまれることとなりました。

コレクションとしての価値

ギザ十は、簡単に識別できるため、コイン収集家たちにとって人気のある種類です。しかし、発行枚数が非常に多いため、市場での実際の取引価格はあまり高くありません。未使用の状態でなければ、通常の状態のギザ十は特に価値がないとされています。それでも、昭和33年に発行されたものは一部プレミアがつくこともありますが、一般的には額面通りまたはそれ以下での取り引きが一般的です。

特に昭和26年製造のギザ十は、デザインに若干の違いがあり、趣味のために収集されることが多いです。また、この年のコインには金が混入しているとの噂があったため、一時的に収集がブームになるなどの現象も見られました。しかし、東京大学での調査によれば、その混入率はわずか0.0004%であったため、実際には貴金属としての価値はありませんでした。

現在の状況

近年、自動販売機は硬貨の識別精度を向上させていますが、この結果、ギザ十の投入を受け付けない機械も増加しています。これは、ギザ十が通常の十円硬貨よりも軽いことに加え、経年による磨耗が原因です。現在、流通しているギザ十は減少傾向にあり、一般の取引からは外れていることが多いです。

終わりに

ギザ十には独自の歴史とデザインがあり、コレクションとして価値はないものの、趣味の分野で今も愛され続けています。硬貨の背後には日本の貨幣制度の移り変わりや社会情勢が反映されており、ギザ十一本を手にすることで、その時代の物語を垣間見ることができるでしょう。

もう一度検索