ギターのボウイング奏法

ギターのボウイング奏法

ギターのボウイング奏法とは、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器で使用する弓を用いて、エレキギターを演奏する特殊な奏法です。ギターを低い位置に構え、まるでチェロを演奏するかのように弓で弦を擦ったり、叩いたり、撫でたりすることで、通常のギター演奏では得られない独特の音響効果を生み出すことができます。

しかし、この奏法はヴァイオリンやチェロのような音色を再現するものではありません。また、弓もギター演奏用に特別に設計されたものではないため、非常に繊細な技術が要求されます。雑に扱うとすぐに弓が傷んでしまう可能性があります。また、安価な機材を使用すると、まるでガラスを擦るような耳障りな音しか出ないこともあり、機材選びも重要な要素となります。

起源

エレクトリックギターのボウイング奏法が広く知られるようになったのは、1966年頃のことです。イギリスのロックバンド「クリエイション」のギタリスト、エディ・フィリップスと、「レッド・ツェッペリン」のギタリスト、ジミー・ペイジがほぼ同時期にこの奏法を使用し始めました。

特に、ペイジが「幻惑されて (Dazed and Confused)」（『レッド・ツェッペリン I』収録）などの楽曲の間奏部分で使用したことで、この奏法は一躍有名になりました。しかし、ペイジがボウイング奏法を始めたきっかけは、英国人俳優デヴィッド・マッカラムの父親であるヴァイオリン奏者との出会いにありました。ペイジは彼から弓を使ったギターとヴァイオリンの演奏を見せられ、その音色と表現力に感銘を受けたと言います。ペイジはテルミンなどと共に、パフォーマンス的な音響効果の一部としてこの奏法を取り入れました。

その後、アイスランドのロックバンド「シガー・ロス」のボーカル兼ギタリスト、ヨンシーがギターのボウイング奏法を前面に押し出した演奏を行い、再び注目を集めました。ヨンシーの演奏は、ギターの新たな可能性を示すものとして、多くの音楽ファンやギタリストに影響を与えました。

ボウイング奏法の難しさ

ボウイング奏法は、見た目以上に習得が難しい奏法です。弓の角度、弦への圧力、スピードなどを繊細にコントロールする必要があり、熟練には多くの練習と経験が求められます。また、ギター本体や弓、弦などの機材も音色に大きく影響するため、様々な組み合わせを試して、自分に合ったものを見つける必要があります。

その他の情報

ボウイング奏法は、ロック、ポップス、実験音楽など、様々なジャンルで使用されています。また、ギターだけでなく、ベースや他の弦楽器に応用されることもあります。

関連項目

ピック奏法
スラップ奏法
タッピング奏法
バイオリン奏法

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