テルミン

テルミンとは

テルミン（ロシア語: Терменвокс）は、1920年にロシアの発明家レフ・テルミンによって創られた電子楽器です。この楽器は、発明者が用いたフランス語の名称に由来し、英語では「Theremin」と呼ばれます。日本語では、長い間「テレミン」として知られていましたが、2000年代初頭から「テルミン」との表記が広まりました。

テルミンの特徴

テルミンの最大の魅力は、手を使って直接触れずに演奏できる点です。演奏者の体の動きによって音が操作されるため、楽器そのものに接触することなく、空中で音の高さや音量を調整できます。これは、テルミンに内蔵された二つの高周波発振器の機能によって実現されており、一方の発振器は固定周波数、もう一方は可変周波数です。音高は「ピッチアンテナ」に手を近づけたり遠ざけたりすることで、音量は「ボリュームアンテナ」を用いて調整します。この独特の操作スタイルがテルミンの特徴的なサウンドを生み出します。

テルミンの歴史

レフ・テルミンは、ペトログラード物理工科大学で温度や圧力によるガス誘電率の変化を測定する装置の開発に従事していた際、偶然にもこの楽器の原理を発見しました。1920年には公の場でデモ演奏を行い、テルミンの名前が広まりました。1921年には、モスクワの電気技術会議で公式に発表され、印象的なデザインはソ連当局にとってもプロパガンダのツールとして利用されることとなりました。

テルミンは、ソ連の指導者レーニンの前でも演奏され、以降、多くのテルミンが製造され全国に広がりました。レフ・テルミンは後にアメリカに渡り特許を取得しますが、世界恐慌の影響で商業的な成功には至りませんでした。特に知られている演奏家にクララ・ロックモアがいます。彼女はアメリカ各地での公演を行い、多くの観客を魅了しました。

テルミンの音楽界での影響

テルミンは音楽の多様性に影響を与えてきました。ポピュラー音楽では、トッド・ラングレンやコーネリアスの作品に利用され、ビーチ・ボーイズの楽曲にも影響を与えています。クラシック音楽では、ショスタコーヴィチやマルタンなどがテルミンを作品に取り入れています。21世紀には、テルミンを活用した新しい作品も増えてきており、かつてないほどの注目を集めています。

テルミンの機種と愛好者

現在、日本国内でもさまざまなテルミンが入手可能であり、人気が高まっています。一部の演奏家はテルミン専門に活躍しており、モーグ社によるテルミンの製造も行われています。多くの愛好者がこの楽器に魅力を感じ、演奏活動をしています。

終わりに

テルミンは、空間を舞う独特な音色とその演奏法で観客を魅了し続けています。今後も多くの新たな表現が生まれることが期待される、魅力的な電子楽器です。

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