ギブソン・レスポール・カスタム

ギブソン・レスポール・カスタム：黒き伝説のギター

ギブソン・レスポール・カスタムは、ギブソンが誇るレスポールシリーズの中でも最高峰に位置するモデルです。1953年、既存のレスポールモデルの上位機種として誕生しました。フォーマルな装いに合うギターというコンセプトのもと、ボディ全体をグロスブラックで仕上げ、多層バインディング、金色のパーツ類が特徴的な、まさに「黒き美」を体現したギターです。

歴史：進化と変遷

発売当初は、ボディ材にマホガニーを使用し、ピックアップにはP-90とアルニコVシングルコイルを搭載していました。その後、P.A.F.ハムバッカーへと変更され、サウンドの幅が広がります。1960年にはレスポール・スタンダードと共にSGシェイプへとモデルチェンジ。その後、1968年に生産再開、黒以外のカラーバリエーションが登場するなど、幾度かの変遷を経てきました。1969年には、ボディ構造が「パンケーキボディ」と呼ばれる特殊な構造に変更された時期もありました。2004年からはギブソン・カスタムショップによる製造となり、現在も多くのギタリストに愛され続けています。

愛称「ブラックビューティー」

「ブラックビューティー」という愛称は、初期の黒塗装モデルを指すことから始まりました。しかし、ランディ・ローズやジェイムズ・ヘットフィールドといった著名ギタリストが70年代以降のモデルを使用し、高い評価を得たことで、現在では年代を問わず、黒いレスポールカスタム全般を指すようになりました。この愛称は、かつて使われていたSprague社のBumble-Beeコンデンサーの外観に由来するという説もあります。

仕様：細部へのこだわり

ボディ材にはマホガニー単体、あるいはメイプルトップ／マホガニーバックの組み合わせが使用され、ネックはマホガニー材を使用しています。指板には、黒く光沢のあるエボニー材が使用されていましたが、近年はエボニー材の枯渇により、ローズウッドや人工素材であるリッチライトも使用されるようになっています。これにより、レスポール・スタンダードとは異なる、より明瞭で鋭いトーンを生み出しています。ピックアップはモデルや年代によって異なり、シングルコイルからハムバッカーまで、様々な組み合わせが存在します。ブリッジにはチューン・O・マチック・ブリッジ&ストップ・テールピースが採用され、オクターブ調整などが容易に行えます。

著名プレイヤー：数々の伝説を彩る

レスポール・カスタムは、多くの著名ギタリストに愛用されてきました。ジャズギタリスト向けに開発されたにも関わらず、そのルックスとサウンドから、ハードロックやヘヴィメタルシーンを中心に人気を博しました。

その愛用者は多岐に渡り、ピーター・フランプトン、フランク・ザッパ、エース・フレーリー、ランディ・ローズ、ミック・ロンソン、マーク・ボラン、ジミー・ペイジ、スラッシュ、ザック・ワイルド、ニール・ショーン、鮎川誠、高見沢俊彦、鈴木重伸、福山雅治、PATA、村上啓介など、様々なジャンルの第一線で活躍するギタリストが、レスポールカスタムを愛用し、数々の名演を繰り広げてきました。彼らの演奏は、レスポールカスタムの持つ圧倒的な存在感を証明しています。

ぼっち・ざ・ろっく！とのコラボレーション

近年では、はまじあき氏による人気漫画『ぼっち・ざ・ろっく！』にて主人公がレスポールカスタムを使用していることで、新たな世代にもその名が知れ渡ることとなりました。アニメ化を機に、エピフォンとギブソンによるコラボレーションモデルも発売され、幅広い層にその魅力が伝わるきっかけとなっています。

まとめ

ギブソン・レスポール・カスタムは、その美しいルックスとパワフルなサウンド、そして数々の伝説的ギタリストによって築き上げられた歴史から、多くのミュージシャンを魅了し続ける名器です。これからも、音楽史にその名を刻み続けることでしょう。

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