ギマラス州

フィリピン諸島の中央部に位置するギマラス州は、西ビサヤ地方に属する、ひときわ穏やかな雰囲気を持つ州です。この州の領土は、ギマラス島全体に及びます。北側にはイロイロ海峡を隔ててイロイロ州、東側にはギマラス海峡を挟んでネグロス・オクシデンタル州と隣接しています。南西側はパナイ湾に面し、さらにその先には広大なスールー海が広がっていることから、古くから海洋貿易の中継地としても重要な役割を果たしてきた歴史が伺えます。

ギマラス州が独立した州として認められたのは、比較的最近のことです。1992年5月11日、それまでイロイロ州の一部であったギマラス島は、独自の州として分離、独立を果たしました。この歴史的出来事により、ギマラス州は独自の行政組織と地方自治体を確立し、独自の文化とアイデンティティを育む道を歩むこととなりました。

面積は約604.7平方キロメートルと、フィリピン国内の州の中では5番目に小さい州です。このコンパクトな領土の中に、豊かな自然と穏やかな気候が凝縮されています。人口は約174,613人（2015年）と、国内でも7番目に人口の少ない州であり、ゆっくりとした時間の流れと、地域住民同士の深い絆を感じることができる、静かで平和な場所だと言えるでしょう。

州都はホルダン（Jordan）という町で、地方自治体の一つとして機能しています。ギマラス州には、市（シティ）に指定されている都市部はありません。そのため、州全体としては、のどかな田園風景が広がり、自然と人々が共存する、調和のとれた環境が保たれています。主要な産業は農業で、マンゴーを始めとした熱帯果樹の栽培が盛んです。また、近年では、エコツーリズムにも力を入れており、美しい自然景観と、静かで穏やかな雰囲気を求める観光客に人気を集めています。

ギマラス州の歴史は、スペイン統治時代やアメリカ統治時代を通じて、複雑な政治的、社会的な変化を経験してきました。しかし、それらの歴史的変遷の中で、ギマラスの人々は独自の文化と伝統を守り続け、現在も独自のアイデンティティを築き上げています。

ギマラス島は、その美しい自然、穏やかな気候、そして人々の温かさによって、訪れる人々を魅了する場所です。フィリピンの他の地域とは異なる、独特の魅力を持つこの州は、今後の発展が期待される、静かで魅力的な場所と言えるでしょう。

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