ギメ東洋美術館

フランス国立ギメ東洋美術館：東洋美術の宝庫

フランス、パリに位置するギメ東洋美術館は、東洋美術専門の国立美術館として、世界的に高い評価を受けています。その歴史は、実業家で東洋美術コレクターでもあったエミール・ギメ氏に遡ります。ギメ氏は、アジア各地を精力的に旅し、貴重な美術品や遺物を収集しました。彼の情熱が結実し、1879年、リヨンに美術館が創設されました。その後、1885年にはパリに移転し、今日まで東洋美術愛好家たちを魅了し続けています。

ギメ美術館の最大の特徴は、その膨大なコレクションにあります。アジア各地の美術品が網羅されており、特にアンコール美術の所蔵品は質と量の両面において世界有数の規模を誇ります。1945年には、ルーヴル美術館の東洋部コレクションがギメ美術館に移管されたことにより、そのコレクションはさらに充実し、アジア以外では最大の東洋美術コレクションとなりました。これにより、ギメ美術館は単なる美術館の枠を超え、東洋美術研究の中心地としての役割も担うこととなりました。

美術館の展示は、地理的地域や時代別に系統的に整理されており、来館者は古代から現代までの東洋美術の豊かな歴史を辿ることができます。中国、日本、インド、東南アジアなど、多様な地域と時代の美術品が展示されており、それぞれの文化の独自性と美しさを堪能できます。ガンダーラ美術やシルクロード美術といった、東西文化交流の歴史を物語る作品群も充実しています。

ギメ美術館の歴史を振り返ると、1891年には館内に阿弥陀如来像を安置し、ヨーロッパで初めて報恩講が営まれたという興味深いエピソードもあります。これは、東洋文化への理解を深める上で重要な一歩となりました。また、1928年には国立美術館として編入され、フランス国家による支援のもと、コレクションの充実と研究活動の促進が図られてきました。

現在では、ギメ美術館は、学術研究機関としての役割も果たしています。数多くの研究者たちが、所蔵品を研究材料として利用し、東洋美術に関する新たな知見を発掘し続けています。また、美術館では定期的に特別展が開催され、最新の研究成果や、新たな視点からの東洋美術の魅力を紹介しています。

ギメ美術館を訪れると、単に美術作品を鑑賞するだけでなく、東洋美術の歴史や文化に触れ、その奥深さを体感することができます。アジアの豊かな文化と歴史に興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

主な収蔵品:

ガンダーラ美術
シルクロード美術
中国美術
インド美術
日本美術
東南アジア美術

関連文献:

『西域美術　ギメ美術館ペリオ・コレクション』（ジャック・ジエス編、講談社）
『秘蔵 日本美術大観6　ギメ美術館』（講談社）

ギメ美術館は、東洋美術の世界への窓であり、そのコレクションと研究活動を通じて、東洋文化の理解と発展に貢献し続けています。

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