ギャスパール・ボアン

ギャスパール・ポアン（Gaspard Bauhin, 1560年1月17日 - 1624年12月5日）は、スイス出身の著名な植物学者であり、その業績は植物学の発展に多大な貢献をしました。彼は、数千もの植物を詳細に記載した『植物対照図表』（Pinax theatri botanici）の著者として知られています。

生涯と業績

ポアンは、フランスから宗教的な理由でスイスに移住した医師の息子として、バーゼルで生まれました。医学を学ぶためにパドヴァ、モンペリエ、ドイツを遊学した後、バーゼルに戻り、医学の学位を取得しました。その後、バーゼル大学でギリシア語、解剖学、植物学の教授を歴任し、医学と植物学の両分野で教鞭を執りました。

特に彼の植物学への貢献は大きく、『植物対照図表』は、当時の植物学における重要な著作の一つです。この著作では、6000種にも及ぶ植物が詳細に記述され、古今の名称が対照されています。ポアンの分類法は、必ずしも革新的ではありませんでしたが、植物の用途に基づいて分類しつつも、植物間の類縁性も意識しており、現在の分類体系にも通じる部分があります。例えば、いくつかの同じ科に属する植物をまとめて記載するなど、後の分類学の発展に影響を与えるものでした。

また、ポアンは『植物対照図表』に続いて『Theatrum Botanicum』の執筆も計画しましたが、完成したのは一部のみでした。彼はまた、ピエトロ・アンドレア・マッティオリの著作の改訂にも携わっています。

ポアンは、植物学だけでなく、解剖学や命名法にも貢献しました。イタリアの有名な医師であるジローラモ・メルキュリエーレの弟子でもあり、医学と植物学の両分野で深い知識を持っていました。彼の業績は、リンネなどの後世の植物学者にも大きな影響を与え、現代の植物分類学の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

主な著作

Theatrum anatomicum (1605)
Prodromos theatri botanici (1620)
Pinax theatri botanici (1623)

まとめ

ギャスパール・ポアンは、植物学の発展に不可欠な存在であり、彼の詳細な植物の記述と分類への貢献は、後世に大きな影響を与えました。医学と植物学の両方に精通し、学問的な知識と情熱を注ぎ込んだポアンの業績は、今日でも高く評価されています。

彼の著書、特に『植物対照図表』は、植物学の研究において重要な資料であり、歴史的にも非常に価値の高いものです。

参考文献

Duane Isely, One hundred and one botanists (Iowa State University Press, 1994), pp. 49–52

外部リンク

* 京都大学電子図書館 Online Pinax theatri botanici (1596)

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