ギュスターブ (ナイルワニ)

ギュスターブ：ブルンジの巨大なナイルワニ

ギュスターブ（Gustave）は、ブルンジのタンガニーカ湖及びルジジ川に生息する巨大なナイルワニとして知られています。このワニは特異な存在であり、現地の人々にとって恐怖の象徴となっています。彼の恐ろしい一面は、300人を超える犠牲者を出したとされる点です。この数字には、他のワニによる犠牲者も含まれる可能性がありますが、ギュスターブ自身が多くの人間に危害を加えたことは間違いありません。

過去には、ギュスターブを射殺しようと試みたことが数度ありましたが、すべて失敗に終わりました。その体には、機関銃や拳銃による多くの弾痕がありますが、致命的な傷を負っていないため、依然として生存しています。彼の強靭な鱗は、映画『カニング・キラー 殺戮の沼』において防弾チョッキに例えられたほどです。

ギュスターブという名前は、フランス人の研究者パトリス・フェイにより1990年代に名付けられました。フェイは最初は捕獲や射殺を試みましたが、次第に観察と保護にシフトし、ギュスターブの生態を研究することに専念しました。2008年を最後に彼の目撃情報は途絶えていたものの、2015年6月に再び水牛を捕食している姿が確認され、彼が生存していることが明らかになりました。

地元の住民は、ギュスターブが人間を襲う理由について、彼が快楽を求めていると信じています。そして、襲われた人々の中には、食べられずに亡くなった例もあると言われています。

ギュスターブの特異な形態

ギュスターブの正確な大きさは測定されていないものの、その全長は600cm以上と推測されています。通常の雄のナイルワニの全長が400～450cmであることを考えると、彼はかなりの大物です。もし捕獲や射殺によって正式な計測が行われれば、ナイルワニの最大個体として記録される可能性があります。現在までの最大記録は700cmです。性別は雄で、年齢はかつては100歳以上とされていましたが、歯の状態から2010年に68歳と推定されました。

ギュスターブの生態

その巨体は他のワニを圧倒し、住民の家畜である牛や馬を単独で水中に引きずり込んで捕食します。未確認ではありますが、成獣の雌カバを捕食した事例もあると言われています。彼が人を襲うようになった背景には、ブルンジにおけるツチ族とフツ族の対立による内戦中に、川に遺棄された戦死者の遺体を食べたために味を覚えたという説や、体の成長に伴い動きが鈍くなり、俊敏な獲物を捕食できなくなったためという説があります。

水中では、ギュスターブは時速12～14kmで移動可能とされており、その素早さと巨体で他の動物や人間を脅かしています。彼の存在は、ブルンジの自然環境における知恵と恐怖の象徴となっています。

作品への登場

ギュスターブを描いた作品には、多くの関心が寄せられています。特に、映画『カニング・キラー 殺戮の沼』では、彼の存在がフィクションとノンフィクションを交えた形で描かれています。

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