ギュルザ-M型砲艇

ギュルザ-M型砲艇の概要

ギュルザ-M型砲艇（ウクライナ語: Гюрза-М）は、ウクライナ海軍に所属する艦級で、58155計画型装甲小型砲艇とも称されます。この砲艇は、近代的な設計を取り入れ、様々な海上任務に従事できることを目的に開発されました。

設計の背景

ギュルザ-M型の設計は、2003年から2005年にかけてウズベキスタン国家保安庁隷下の国境警備隊に向けて建造されたギュルザ型（58150型）砲艇を基にしています。この砲艇は、沿岸海域における哨戒や警備、さらには小型艦艇との交戦、航行の安全確保、偵察活動や輸送任務において高い作戦能力を発揮します。また、船体はステルス性が考慮されており、敵のレーダーに捕捉されにくい設計となっています。

兵装の特徴

ギュルザ-M型砲艇には、KAU-30MRWSという兵装システムが2基装備されており、これにより30mm機関砲と30mmグレネードランチャーが搭載されています。また、7.62mm機関銃と対戦車ミサイル発射機も配置されており、火力は非常に高いものとなっています。加えて、携帯式対空兵器を利用することで、空中からの攻撃に対しても立ち向かうことが可能です。

運用の歴史と現状

2014年、ロシアによるクリミア半島併合によって、多くの艦艇を失ったウクライナ海軍は新たに「蚊の艦隊」の編成を決定しました。この中にギュルザ-M型砲艇が計画艦の一つとして含まれています。2015年11月11日には、最初の艦である「アッケルマン」が進水しました。

しかし、同型艦の運用は困難を伴いました。2018年11月25日のケルチ海峡事件では、ギュルザ-M型の「ベルジャーンシク」と「ニーコポリ」がロシア連邦保安庁の国境警備隊に拿捕され、特に「ベルジャーンシク」は損傷を受ける結果となりました。さらに、2022年のロシアによるウクライナ侵攻においては「ルブヌイ」が撃沈され、「アッケルマン」、「クレメンチュグ」、「ヴィーシュホロド」がロシア軍に鹵獲され、一部はロシア黒海艦隊に編入されました。このように、運用歴には多くの困難が伴っています。

同型艦と関連情報

ギュルザ-M型に関連する同型艦や他のウクライナ海軍艦艇については、ウクライナ海軍の艦艇一覧を参照にすることができます。また、シュメーリ型（1204型）砲艇など、ソ連時代に建造された河川砲艇も現在ウクライナでは国家国境庁の海上警備隊に配備されています。

このように、ギュルザ-M型砲艇はウクライナ海軍にとって重要な役割を果たす艦艇の一つであり、その設計や装備は現代の要求に応えたものとなっています。今後もその動向が注目されます。

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