ギヴ・モア・ラヴ

アルバム概要

『ギヴ・モア・ラヴ (Give More Love)』は、イングランドのミュージシャンであるリンゴ・スターが2017年にリリースした19枚目のスタジオ・アルバムです。スターが所有するロサンゼルスのゲストハウススタジオで大部分が録音され、ユニバーサル・ミュージック・エンタープライズから9月15日に世に出ました。このアルバムには、スターの旧友でもあるポール・マッカートニーのほか、ジョー・ウォルシュやデイヴ・スチュワート、ボブ・マローンなど、スターとの共演が多いアーティストが参加しています。

制作の背景

前作『Postcards from Paradise』のリリース後、スターは新たなアルバム制作に着手しました。当初は、長年のコラボレーターであるデイヴ・スチュワートの協力を得て、テネシー州ナッシュビルでカントリーアルバムを制作しようと考えていたものの、最終的にはゲストハウスのスタジオで録音されることとなりました。アルバムには、オール・スター・バンドのメンバーや元メンバーのスティーヴ・ルカサーやピーター・フランプトン、ジョー・ウォルシュなども参加し、豪華な顔ぶれが揃いました。

音楽の特徴

特に注目すべきは、元ビートルズのポール・マッカートニーが2曲でベースを演奏し、彼のバックボーカルもフィーチャーされている点です。スターはTwitterを通じて、マッカートニーの参加を事前に発表しました。

アルバムには10曲のオリジナルトラックだけでなく、4曲のボーナストラックも収められており、これらはスターが過去にリリースした楽曲の再録音です。特に「バック・オフ・ブーガルー (Back Off Boogaloo)」の再録音は、引越しの際に見つかったデモを基に、エレクトリック・ライト・オーケストラのジェフ・リンとイーグルスのジョー・ウォルシュがギターを演奏しています。

また、スターの誕生日イベントで披露されたカバー演奏を元に、「フォトグラフ (Photograph)」や「ユー・キャント・ファイト・ライトニング」のスタジオ録音も行われ、これらにはアメリカのバンドが参加しています。これにより、再録音曲はファンにとっても喜ばしい要素と捉えられました。

リリースと受賞歴

リンゴ・スターは2017年7月7日に、77歳の誕生日を迎えたタイミングでアルバムの発表を行い、同日にはタイトル曲をストリーミングとデジタル配信する形でリリースしました。その後も「ウィアー・オン・ザ・ロード・アゲイン (We're On the Road Again)」や「ソー・ロング・フォー・ソー・ロング (So Wrong For So Long)」、「スタンディング・スティル (Standing Still)」といったシングルが次々と発表され、アルバムの認知度が高まっていきました。

評価と反響

リリース後、『ギヴ・モア・ラヴ』は多様な評価を受けることとなります。『ローリング・ストーン』のウィル・ハームスは、スターを「ロックにおけるいたずら好きなミニマリスト」と評し、アルバムを「よく熟成されたオールスターのキャンディーグラム」呼びました。これに対し、オールミュージックのスティーヴン・トマス・アールワインは「心を開いた、優しい音楽」と述べ、タイトルが示す通りのアプローチを強調しました。2010年代の他のソロ作品と比較した際にも、このアルバムに対する好意的な意見と否定的な意見が交錯していることが目立ちました。

『ギヴ・モア・ラヴ』は、リンゴ・スターの音楽的オプティミズムや経験豊かなキャリアを感じさせる作品となっており、聴く人に心温まるメッセージを届けることを目的としたアルバムと言えるでしょう。

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