ギ・フィリップ

ギ・フィリップ（Guy Philippe、1968年2月29日 - ）は、2004年のハイチ・クーデターにおける反乱の指導者として知られています。彼の経歴は、警察署長から反政府勢力のリーダー、そして政治家へと多岐にわたります。

警察署長からクーデターへ

フィリップは、2000年10月までハイチ国家警察のカパイシャン署長を務めていましたが、クーデターを組織した疑いで告発され、罷免されました。その後、ドミニカ共和国に逃れ、2004年2月まで潜伏生活を送りました。

2004年2月14日、フィリップはハイチ解放再建革命戦線を名乗り、元FRAPH司令官のルイ＝ジョデル・シャンブランやジャン・タトゥーンらと共に国境を越え、武装闘争を開始しました。2月19日には、反乱軍が占領したアルティボニト地域で、ブタ・メタイエが大統領を自称し、フィリップを司令官に任命しました。

軍事訓練と政治思想

フィリップは元軍人であり、1990年代にはエクアドルでアメリカ陸軍特殊作戦コマンドの訓練を受けていました。彼は、チリのアウグスト・ピノチェト将軍を尊敬しており、ピノチェトがチリに新自由主義を導入し、経済改革によってチリを繁栄させたと評価していました。

告発と人権侵害

ハイチ政府は、2001年7月の警察学校襲撃事件と、同年12月のクーデター未遂事件に関与した疑いでフィリップを告発していました。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、フィリップがポルトープランス郊外のデルマの警察署長を務めていた1997年から1999年の間に、国際的な監視員が「主にフィリップの補佐官であるベルトニ・バジル警部指揮下の警察組織によって、数十人の犯罪組織の構成員が裁判を経ることなく処刑されていた」ことを報告しました。

クーデター後の動き

2004年3月2日、フィリップとその武装集団は国家宮殿を制圧し、旧ハイチ軍司令部を支配下に置きました。彼は世界の報道陣に対し、国内の武装勢力の90%を支配下に置いていると宣言し、20人の警察部隊の司令官に対し、出頭しなければ拘束すると警告しました。また、ハイチ国内のラジオ局を通じて、「この国は我が手にある」と宣言しました。

同日、フィリップは首相のイヴォン・ネプチーヌを拘束すると発表しました。ネプチーヌはアリスティドのラヴァラ党の幹部でもあり、彼の家は武装した暴徒によって焼き払われ、自身も追われる身となりました。

その後

ギ・フィリップは、ボニファス・アレクサンドルの暫定政権に協力し、2005年7月には国家再建戦線を結成し、2006年の大統領選挙に立候補しました。

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