クィキクタアルク地域

クィキクタアルク地域

カナダの極北に位置するヌナブト準州を構成する、主要な地方行政区画の一つです。イヌクティトゥット語では「ᕿᑭᖅᑖᓗᒃ」と表記され、地域によっては「バフィン地域」としても知られています。この広大な地域は、ヌナブト準州の最北端から最南端までを含み、北極圏の厳しい自然環境が特徴です。

地理的範囲とその多様性

クィキクタアルク地域は、地理的に非常に多様な構成要素から成り立っています。カナダ最大のバフィン島をはじめ、ベルチャー諸島、アキミスキ島、マンセル島、プリンスチャールズ島、バイロト島、デヴォン島、コーンウォリス島、バサースト島、アマンドリングネス島、エルフリングネース島、アクセルハイバーグ島、エルズミーア島など、多数の主要な島々が含まれます。さらに、大陸部のメルヴィル半島やメルヴィル島東部、プリンスオブウェールズ島北部、サマーセット島北部、そしてこれらを取り巻く多数の島嶼群もその管轄下にあります。温暖な南部から氷河に覆われた高緯度まで、変化に富んだ景観が広がっています。

歴史的背景

現在のクィキクタアルク地域が成立したのは、1999年にヌナブト準州が創設された際です。それ以前は、カナダのノースウエスト準州の一部であり、バフィン地域と呼ばれていました。ただし、当時のバフィン地域と現在のクィキクタアルク地域では、管轄範囲に一部違いがあります。準州成立は、カナダにおけるイヌイットの人々の自治権確立に向けた重要な一歩であり、クィキクタアルク地域も新たな行政単位として位置づけられました。

首府と人口

クィキクタアルク地域の行政の中心は、バフィン島南東部のイカルイトです。イカルイトはヌナブト準州全体の首府でもあり、この地域における政治、経済、文化の中心地です。

人口は、2021年の統計で19,355人です。ヌナブト準州は三つの地域区分で統計を取っていますが、クィキクタアルク地域はこれら三つの地域の中で、人口および面積の双方において最大の規模を誇ります。広大な土地に人々が点在して暮らしており、人口密度は極めて低いのが特徴です。

地域内のコミュニティ

クィキクタアルク地域には、首府であるイカルイト市に加え、多くの集落が「ハムレット」と呼ばれています。主なコミュニティは以下の通りです。

市:
イカルイト (Iqaluit): ヌナブト準州およびクィキクタアルク地域の首府。
ハムレット:
アークティック・ベイ (Arctic Bay): 別称イクピアルユク(Ikpiarjuk)。
キンガイト (Kinngait): 旧称ケープ・ドーセット(Cape Dorset)。
クライド・リバー (Clyde River)
グリスフィヨルド (Grise Fiord)
サニラジャク (Sanirajak): 旧称ホール・ビーチ(Hall Beach)。
イグルーリク (Igloolik)
キミルト (Kimmirut)
パンニルトゥング (Pangnirtung)
ポンド・インレット (Pond Inlet)
クィキクタージュアク (Qikiqtarjuaq)
レゾリュート (Resolute)
* サニキルアク (Sanikiluaq)

これらの他、過去に集落として機能したナニシヴィク（廃村）や、バフィン未組織地区に含まれるアラート（世界最北の有人観測拠点の一つ）やユーリカといった、研究施設などが存在する集落も含まれます。

クィキクタアルク地域は、カナダ北極圏の自然、文化、歴史が凝縮された、極めて重要な行政区分です。その広大な面積と多様なコミュニティは、この地域のユニークな魅力を形成しています。

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