クイのピラミッド

クイのピラミッドは、古代エジプトの歴史において「第一中間期」の初期、具体的には紀元前2150年頃に遡ると推定される墳墓建造物です。この遺跡は、中エジプトのマンファルート近郊、ダーラと呼ばれる王家の墓域内に位置しており、ダフラ・オアシスの入口からもほど近い場所にあります。一般的には、このピラミッドはエジプト第8王朝の支配者であったクイのために築かれたと考えられています。しかし、現在では完全に崩壊しており、かつて主要なピラミッドの一部であった泥レンガ製の外壁や墓所など、わずかな痕跡が残るのみです。

発見と構造論争

この崩壊した建造物が初めて学術的に言及されたのは、1912年にエジプト考古学博物館の論文でのことでした。本格的な調査は、1946年から1948年にかけて、エジプト学者のレイモン・ヴェイユとアフメド・カマールによって実施されました。建造物の崩壊状態が非常に悪く、その形状も定型的ではなかったため、両学者の間で意見が分かれました。カマールはこれを巨大なマスタバ（古代エジプトのベンチ状墳墓）であると主張しましたが、ヴェイユはピラミッドであるという見解を示しました。今日では、おそらくは階段ピラミッドであった可能性が高いと考えられていますが、その構造がピラミッドに分類されるのか、あるいは極めて巨大なマスタバなのか、正確な種類はまだ確定していません。

被葬者に関する問題

この墳墓の調査からは、誰が埋葬されていたかを示す確かな銘文は発見されていません。しかし、ピラミッドの遺構よりも南側の場所から、カルトゥーシュ（王名などを囲む楕円形の枠）の中に「クイ」（ḫwj）と記された石のブロックが見つかっています。このブロックは、主構造の北側に位置していたと考えられる葬祭殿の遺構に由来すると推測されています。この発見に基づき、広く受け入れられている説としては、このピラミッドにクイが埋葬されたというものがありますが、これを決定的に証明する証拠はまだ得られていません。

主要構造の規模と特徴

現在残されている遺構は、崩壊が進んだ結果、まるで階段ピラミッドの第一段目のように見えます。しかし、前述のように、これが本当にピラミッドとして完成したのか、あるいはどのような形態の建造物であったのかは断定できません。主構造の平面は長方形で、南北におよそ146メートル、東西に約136メートルという広大な面積を占めています。泥レンガを積んで作られた外壁は内側に傾斜しており、最も厚い部分では35メートルにも達していました。その四隅は半径23メートルで丸く整形されていました。この巨大な外殻の内側空間は、おそらく土や砂利で埋められていたと考えられています。

もしこの建造物が階段ピラミッドであったと仮定するなら、その基底部はエジプト古王国時代に建てられた有名なジェセル王の階段ピラミッドのそれよりも大きくなります。また、もしこれがマスタバであったとしても、第4王朝のシェプスセスカフ王の著名なマスタバ・アル＝ファラウンをも凌駕する、エジプト史上最大級の規模を持つことになります。

地下墳墓

主構造の北側には、地上レベルに入口を持つ水平な通路が設けられており、これが建造物の中心に向かってまっすぐに伸びています。この通路は、さらに地下へと下る回廊へと続いています。回廊の壁面は丁寧に石灰岩で覆われ、上部には11のアーチが並び、これを支えるために石柱が補強材として使われていました。この回廊の終点には、構造物の基底部の中心にあたる位置に玄室があります。

地下8.8メートルの深さに位置する玄室は、長方形で約3.5メートル×7メートルの広さを持っています。玄室の壁は、粗く加工された石灰岩のブロックで築かれており、これらの石材は、おそらく近隣にあるより古い第6王朝時代の墓地から転用されたものと考えられています。発掘調査が行われた際、この地下墳墓は完全に空っぽの状態でした。これは明らかに古代のうちに盗掘を受け、ほとんどが破壊されていたためです。したがって、実際にここに誰が埋葬されていたのかは、依然として不明なままです。興味深いことに、玄室の構造は、さらに古い第3王朝時代のベイト・ハラフにあるK1号マスタバ墓と多くの類似点を示しています。

葬祭施設

主構造の北側からは、瓦礫と化した建築物の痕跡が見つかっています。これらは、おそらく本来のピラミッド構造に付随する葬祭殿の一部だったと考えられます。しかし、これらの遺構は断片的すぎて、当時の建造物を信頼性高く復元するには至っていません。また、遺跡の一部と考えられる外周壁の泥レンガも見つかっていますが、その大部分は現在のダーラの村の下に埋もれているため、全容を把握することは困難です。

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