クイニョン

クイニョン（Quy Nhơn）は、ベトナム南中部地方に位置するビンディン省の省都であり、歴史と現代が融合する魅力的な都市です。その起源は古く、11世紀にはチャンパ王国の重要な外港として栄え、ヴィジャヤという都を支える役割を担っていました。この地は、鄭和の南海遠征においても7回の航海の寄港地として利用され、国際的な交易拠点としても重要な役割を果たしました。

18世紀には、西山朝の初代皇帝である阮文岳がこの地で即位し、クイニョンは一時的に政治の中心となりました。しかし、その後の西山朝の滅亡期には、阮朝の始祖である阮福映との間で激しい戦いが繰り広げられ、歴史の舞台として重要な役割を果たしました。また、1940年代の日本軍進駐時代には、「キーノン」または「キノン」と呼ばれていました。

現在のクイニョン市は、16の坊と5つの社から構成されています。具体的には、ブイティースアン坊、ドンダー坊、ゲンラン坊、ハイカン坊、レホンフォン坊、レロイ坊、リトゥオンキエット坊、ゴマイ坊、グエンヴァンクー坊、ニョンビン坊、ニョンフー坊、クアンチュン坊、ティーナイ坊、チャンフンダオ坊、チャンフー坊、チャンクアンジエウ坊、そしてニョンチャウ社、ニョンハイ社、ニョンホイ社、ニョンリー社、フオックミー社があります。これらの地域はそれぞれ独自の特色を持ち、クイニョン市の多様性を形成しています。

クイニョンは近年、観光地としても注目を集めています。市街地の南側には美しいビーチが広がり、リゾート開発が盛んに行われています。また、周辺にはチャンパ王国の遺跡群も点在しており、特にビンディン遺跡群は、金塔（トック・ロック）、象牙塔（ズオン・ロン）、トゥーティエンなど、歴史的な建造物を数多く見ることができます。これらの遺跡は、チャンパ王国の繁栄を物語る貴重な遺産です。なお、これらの遺跡はクイニョン市だけでなく、タイソン県やアンニョン市社にも広がっています。

交通の面では、フーカット空港がホーチミン市やダナン市との間で2路線を運航しており、空の便でのアクセスが可能です。また、ベトナム鉄道南北線（統一鉄道）も利用でき、フーカット駅とジウチ駅がクイニョンへの玄関口となっています。特にジウチ駅からは、クイニョン中心街への支線が運行しており、鉄道でのアクセスも便利です。さらに、ティーナイ港は海上輸送の拠点として重要な役割を果たしています。

クイニョン出身の著名人としては、フランスの地球物理学者であるグザヴィエ・ル・ピションが挙げられます。彼は地球科学の分野で重要な貢献をしており、クイニョンが多様な才能を輩出する土地であることを示しています。

このように、クイニョンは歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市であり、訪れる人々に豊かな体験を提供しています。古都の歴史を感じながら、美しいビーチでリラックスする、そんな多様な楽しみ方ができる場所です。

もう一度検索