クインテット

「クインテット」（Quintet）は、英語の単語に由来し、基本的な意味として「五つ組」や「五人組」といった、要素が五つからなる集まりやグループを指し示す言葉です。

この言葉が最も一般的に用いられるのは音楽の分野でしょう。

楽器編成における五重奏や、声楽における五重唱を意味します。これは、五つの異なるパートを演奏または歌唱する形式、あるいはそのために編成された演奏家や声楽家たちの集団を指します。クラシック音楽においては、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1からなる弦楽五重奏曲や、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットによる管楽器五重奏、あるいはピアノと弦楽器によるピアノ五重奏など、様々な組み合わせが存在します。
ジャズやポピュラー音楽の分野では、特定の演奏家たちが集まって結成した五人編成のグループ名やユニット名として「クインテット」が使われる例もよく見られます。例えば、日本の著名なトランペット奏者である日野皓正氏とピアニストの菊池雅章氏らがかつて活動を共にした音楽ユニットの名称に「日野皓正・菊池雅章クインテット」があります。

音楽分野以外でも、「クインテット」あるいは類似した綴りの言葉が固有名詞として広く使われています。

メディアの分野では、作品や番組のタイトルとして目にすることがあります。例えば、1979年に公開された外国映画のタイトルに「クィンテット」というものがあります。また、日本の放送局NHKが制作・放送していた、子供向けの人形劇と音楽を組み合わせたテレビ番組のタイトルも「クインテット」として多くの人に親しまれました。ライトノベルのシリーズ名に「クインテット！」という作品も存在します。さらに、日本の女性アイドルグループNMB48には、五人のメンバーで構成された派生ユニットの名称として「Queentet」がありました。
その他の分野でも、固有名詞として使用される例があります。ビデオゲームソフトウェアの開発や販売を手がけていた日本の企業名として「クインテット」がありました。自動車関連では、本田技研工業（ホンダ）がかつて生産・販売していた小型車「ホンダ・クイント」の、特に欧州市場向けの輸出仕様車の名称が「ホンダ・クインテット」とされていました。また、近年では、柔道家として知られる秋山成勲氏がプロデュースする、組み技格闘技に特化したプロフェッショナル大会の名称にも「QUINTET」が用いられています。

このように「クインテット」という言葉は、その基本的な「五つ」という意味から派生し、音楽の専門用語としてだけでなく、映画、テレビ、出版、企業、自動車、スポーツイベントなど、非常に多岐にわたる分野において、特定の固有名詞として採用されていることがわかります。

関連する言葉としては「五人組」が挙げられるほか、同名の異なる事柄を区別するため、「クインテット」を含むページの一覧も参照されることがあります。日本語における「クインテット」の多様な用法については、精選版 日本国語大辞典やデジタル大辞泉などの辞書情報も参照が可能です。

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