クインテット (ゲーム会社)
株式会社クインテットは、かつてコンシューマーゲーム機向けのソフトウェア開発を手掛けていた日本のゲーム会社です。1989年4月、神奈川県川崎市にある「かわさきマイコンシティ南黒川地区」にて産声を上げました。当初はエニックス研究所と同じ敷地に本社を構えていましたが、後に東京都多摩市永山のマンションへと拠点を移しています。
社名は、音楽用語の「クインテット（五重奏）」に由来します。設立当初は「プログラマー」「企画」「グラフィック」「サウンド」という四つの要素から「カルテット（四重奏）」とする構想でしたが、近隣に同名の会社が存在したため、「プロデューサー」の要素を加え、五重奏たる「クインテット」と名付けられました。
会社の礎を築いたのは、日本ファルコムの代表作『イース』や『イースII』でメインプログラマーを務めた橋本昌哉氏です。彼が初代代表取締役社長に就任しました。その後、同シリーズのシナリオライターだった宮崎友好氏が二代目社長を引き継いでいます。この日本ファルコムとの深いつながりは、クインテットの初期作品にも大きな影響を与えました。特に、スーパーファミコン発売直後にリリースされた記念すべき処女作『アクトレイザー』では、『イース』シリーズの音楽を手掛けた古代祐三氏がサウンドを担当。オーケストラを彷彿とさせるその楽曲は、ユーザーから絶大な評価を受け、ゲームの成功を後押ししました。キャラクターデザインは、古代祐三氏の実妹である古代彩乃氏が担当しています。
『アクトレイザー』に続き、クインテットはスーパーファミコン向けにアクションロールプレイングゲーム（ARPG）の傑作群を生み出しました。エニックスから発売された『ソウルブレイダー』、『ガイア幻想紀』、そして『天地創造』は、合わせて「ソウル三部作」あるいは「クインテット三部作」と称され、同社独自のゲーム世界を確立しました。これらの作品に共通する「創造と破壊」というユニークなテーマは、多くのプレイヤーを惹きつけ、熱心な固定ファンを生み出すことになります。
ゲーム開発がディスクメディアへと移行し、開発費が高騰していく流れの中で、クインテットは業界内の連携を模索します。ゲームアーツが中心となって設立された「GD-NET（GAME DESIGNERS NETWORK）」、そしてそれを母体とした「ESP」に参加し、セガサターン市場にも参入しました。このプラットフォームでは、アルマニック（後にギブロ）で開発部長を務めた七條敬重氏をディレクターに迎え、『コードR』を制作しています。なお、七條氏は後にクインテットから分社したジャイアントセブンの代表を務めることになります。
また、1995年には子会社として株式会社シェードを設立しました。シェードの代表には、日本ファルコムやクインテットでグラフィッカーとして活躍した横田幸次氏が就任。クインテットとシェードは連携し、プレイステーション向けタイトルも手掛けるなど、事業の幅を広げました。
しかし、2000年頃を境に、クインテットが開発を担当したと明記されるゲームタイトルは減少傾向となります。会社の活動は徐々に表面から見えにくくなり、晩年は開発下請け業務が中心となっていたようです。
公式サイトの動向も、会社の状況を反映していました。クインテットの公式サイトは少なくとも2008年3月頃までは存在していましたが、それ以降に消滅し、かつてのURLは現在別の企業が使用しています。公式サイトが消滅する以前も、最終更新日は2002年2月26日と、長期間にわたって情報が更新されない状態が続いていました。公式サイトには2002年3月29日までは掲示板も設置されていましたが、会社の近況が全く伝わってこないことに業を煮やしたファンからの厳しい声が相次ぎました。これに対し、同社のスタッフが「現在は外部に提供できる情報がないため、掲示板を閉鎖する」旨の書き込みを行い、掲示板が閉鎖されるという一幕もありました。
公式な情報発信が途絶えた後も、クインテットが開発に関わったと推測されるいくつかの作品が存在します。例えば、2002年3月29日にコーエーから発売されたゲームボーイアドバンス用RPG『マジカル封神』は、著作権表記にクインテットの名はありませんが、開発関係者がクインテットによる開発であることを証言しています。また、ゲームボーイアドバンスで展開された『スーパーロボット大戦』シリーズ（A、R、D、J）の一部タイトルでは、エンディングクレジットにサウンド担当として同社の名前が確認されています。2005年発売のPS2版『イースIII -ワンダラーズフロムイース-』でもBGMを担当したようですが、こちらのアレンジはあまり評判が良くなかったようです。その他、インターネット上の有志の調査により、様々なゲームソフトのエンドクレジットにクインテットのスタッフ名が確認されており、公式に開発元として明記されない形での開発協力や部分的な下請けが、晩年の主な活動であったことがうかがえます。
フライトユニット代表の安堂ひろゆき氏が自身のTwitter（現：X）にて「クインテットは倒産した」という趣旨の発言をしており、これが会社の終焉を示す情報として広まっています。クインテットが関与した最後の作品とされるのは、Wii向けにスクウェア・エニックスから発売された『ソウルイーター モノトーン プリンセス』（2008年9月発売）です。このタイトルは開発途中にクインテットが事実上活動を停止した（倒産した）ため、開発スタッフは別会社に移籍して完成させたと言われています。
独自の創造的な作風で多くのファンを魅了したクインテットですが、時代の変化の中でその姿を消しました。しかし、『アクトレイザー』や「ソウル三部作」といった代表作は、今なお多くのゲーマーによって語り継がれています。
社名は、音楽用語の「クインテット（五重奏）」に由来します。設立当初は「プログラマー」「企画」「グラフィック」「サウンド」という四つの要素から「カルテット（四重奏）」とする構想でしたが、近隣に同名の会社が存在したため、「プロデューサー」の要素を加え、五重奏たる「クインテット」と名付けられました。
会社の礎を築いたのは、日本ファルコムの代表作『イース』や『イースII』でメインプログラマーを務めた橋本昌哉氏です。彼が初代代表取締役社長に就任しました。その後、同シリーズのシナリオライターだった宮崎友好氏が二代目社長を引き継いでいます。この日本ファルコムとの深いつながりは、クインテットの初期作品にも大きな影響を与えました。特に、スーパーファミコン発売直後にリリースされた記念すべき処女作『アクトレイザー』では、『イース』シリーズの音楽を手掛けた古代祐三氏がサウンドを担当。オーケストラを彷彿とさせるその楽曲は、ユーザーから絶大な評価を受け、ゲームの成功を後押ししました。キャラクターデザインは、古代祐三氏の実妹である古代彩乃氏が担当しています。
『アクトレイザー』に続き、クインテットはスーパーファミコン向けにアクションロールプレイングゲーム（ARPG）の傑作群を生み出しました。エニックスから発売された『ソウルブレイダー』、『ガイア幻想紀』、そして『天地創造』は、合わせて「ソウル三部作」あるいは「クインテット三部作」と称され、同社独自のゲーム世界を確立しました。これらの作品に共通する「創造と破壊」というユニークなテーマは、多くのプレイヤーを惹きつけ、熱心な固定ファンを生み出すことになります。
ゲーム開発がディスクメディアへと移行し、開発費が高騰していく流れの中で、クインテットは業界内の連携を模索します。ゲームアーツが中心となって設立された「GD-NET（GAME DESIGNERS NETWORK）」、そしてそれを母体とした「ESP」に参加し、セガサターン市場にも参入しました。このプラットフォームでは、アルマニック（後にギブロ）で開発部長を務めた七條敬重氏をディレクターに迎え、『コードR』を制作しています。なお、七條氏は後にクインテットから分社したジャイアントセブンの代表を務めることになります。
また、1995年には子会社として株式会社シェードを設立しました。シェードの代表には、日本ファルコムやクインテットでグラフィッカーとして活躍した横田幸次氏が就任。クインテットとシェードは連携し、プレイステーション向けタイトルも手掛けるなど、事業の幅を広げました。
しかし、2000年頃を境に、クインテットが開発を担当したと明記されるゲームタイトルは減少傾向となります。会社の活動は徐々に表面から見えにくくなり、晩年は開発下請け業務が中心となっていたようです。
公式サイトの動向も、会社の状況を反映していました。クインテットの公式サイトは少なくとも2008年3月頃までは存在していましたが、それ以降に消滅し、かつてのURLは現在別の企業が使用しています。公式サイトが消滅する以前も、最終更新日は2002年2月26日と、長期間にわたって情報が更新されない状態が続いていました。公式サイトには2002年3月29日までは掲示板も設置されていましたが、会社の近況が全く伝わってこないことに業を煮やしたファンからの厳しい声が相次ぎました。これに対し、同社のスタッフが「現在は外部に提供できる情報がないため、掲示板を閉鎖する」旨の書き込みを行い、掲示板が閉鎖されるという一幕もありました。
公式な情報発信が途絶えた後も、クインテットが開発に関わったと推測されるいくつかの作品が存在します。例えば、2002年3月29日にコーエーから発売されたゲームボーイアドバンス用RPG『マジカル封神』は、著作権表記にクインテットの名はありませんが、開発関係者がクインテットによる開発であることを証言しています。また、ゲームボーイアドバンスで展開された『スーパーロボット大戦』シリーズ（A、R、D、J）の一部タイトルでは、エンディングクレジットにサウンド担当として同社の名前が確認されています。2005年発売のPS2版『イースIII -ワンダラーズフロムイース-』でもBGMを担当したようですが、こちらのアレンジはあまり評判が良くなかったようです。その他、インターネット上の有志の調査により、様々なゲームソフトのエンドクレジットにクインテットのスタッフ名が確認されており、公式に開発元として明記されない形での開発協力や部分的な下請けが、晩年の主な活動であったことがうかがえます。
フライトユニット代表の安堂ひろゆき氏が自身のTwitter（現：X）にて「クインテットは倒産した」という趣旨の発言をしており、これが会社の終焉を示す情報として広まっています。クインテットが関与した最後の作品とされるのは、Wii向けにスクウェア・エニックスから発売された『ソウルイーター モノトーン プリンセス』（2008年9月発売）です。このタイトルは開発途中にクインテットが事実上活動を停止した（倒産した）ため、開発スタッフは別会社に移籍して完成させたと言われています。
独自の創造的な作風で多くのファンを魅了したクインテットですが、時代の変化の中でその姿を消しました。しかし、『アクトレイザー』や「ソウル三部作」といった代表作は、今なお多くのゲーマーによって語り継がれています。
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