クイーン・エリザベス (戦艦)

HMSクイーン・エリザベス：激戦の歴史を彩ったイギリスの戦艦

HMSクイーン・エリザベスは、イギリス海軍が誇るクイーン・エリザベス級戦艦の1番艦であり、その名は歴史に名を残すエリザベス1世に由来します。本艦は、第一次世界大戦と第二次世界大戦という二つの世界大戦を戦い抜き、数々の重要な海戦に参加しました。その輝かしい戦歴は、イギリス海軍の歴史において重要な位置を占めています。

第一次世界大戦での活躍

1912年10月21日に起工し、1913年10月16日に進水したクイーン・エリザベスは、1915年1月に就役しました。第一次世界大戦勃発後、オスマン帝国が中央同盟陣営として参戦すると、中東戦線が形成されました。当時のイギリス海軍大臣ウィンストン・チャーチルは、東部戦線で苦戦するロシア帝国を支援するため、ダーダネルス海峡を突破しコンスタンティノープルを陥落させる作戦を主張しました。この作戦に、クイーン・エリザベスも派遣されることになります。

ダーダネルス海峡の海戦では、クイーン・エリザベスは連合国艦隊の旗艦を務めました。この海戦において、クイーン・エリザベスはイギリス軍戦艦の先頭を率いて戦いましたが、連合国艦隊は旧式の前弩級戦艦が主力であり、苦戦を強いられました。1915年3月18日の戦闘では、連合国軍は戦艦3隻を失い、他にも多くの艦が損傷するという大損害を被りました。その後もガリポリ上陸作戦に参加しましたが、十分な砲撃支援を行うことができず、ガリポリ戦役は連合国軍の大敗北に終わりました。

ユトランド沖海戦時にはドック入りしていたため、戦闘には参加できませんでしたが、終戦時には大艦隊司令長官デイヴィッド・ビーティー卿の旗艦として、ドイツ帝国海軍の大洋艦隊抑留作戦に参加しました。また、ドイツ降伏文書の調印時には、連合国軍旗艦として歴史的な瞬間に立ち会いました。

戦間期の活動と近代化改装

第一次世界大戦終結後、クイーン・エリザベスは大西洋艦隊の旗艦を務め、その後、地中海艦隊の旗艦となりました。1937年から1941年にかけては大規模な近代化改装が行われ、上部構造が箱型艦橋へと一新されたほか、6インチ砲が撤去され、代わりに20門の4.5インチ砲と多数の対空砲が装備されました。また、艦中央部にはカタパルトも設置されました。この近代化改装によって、クイーン・エリザベスは陳腐化を免れ、第二次世界大戦でも十分に活躍できる戦力となりました。

1921年には、大正天皇皇太子（後の昭和天皇）がイギリスを訪問した際、クイーン・エリザベスは日本海軍の戦艦「香取」と「鹿島」を出迎えました。皇太子は本艦を訪問し、マストに皇太子旗が掲げられ、艦上では午餐会も開催されました。

第二次世界大戦での活躍と終焉

第二次世界大戦では、地中海攻防戦において、クイーン・エリザベスは姉妹艦と共に地中海艦隊の一部として活動しました。クレタ島攻防戦では、地中海艦隊旗艦「ウォースパイト」が撃破されたため、本艦が地中海艦隊の主力艦となりました。

1941年12月18日には、イタリア海軍の人間魚雷による奇襲攻撃を受け、船体中央部から大破着底しました。この襲撃により、乗員9名が死亡し、本艦はアメリカ海軍の工廠で大規模な修理を受けることとなりました。修理後は、東洋艦隊に編入され、インド洋や太平洋で活動しました。ビルマ反攻作戦では、連合国陸軍を支援するため艦砲射撃を行いました。

クイーン・エリザベスは1945年7月に帰国し、1948年3月にスクラップとして売却され、その長い歴史に幕を下ろしました。

まとめ

クイーン・エリザベスは、二つの世界大戦を戦い抜いたイギリス海軍の象徴とも言える戦艦でした。その戦歴は、イギリス海軍の歴史において重要な位置を占めており、現在でも多くの人々に語り継がれています。第一次世界大戦でのダーダネルス海峡の海戦や、第二次世界大戦での地中海攻防戦など、数々の激戦を経験し、その存在はイギリス海軍の歴史そのものを体現していると言えるでしょう。

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