クウェイド・クーパー

クウェイド・サンティニ・クーパー

ニュージーランドで生を受け、オーストラリア代表「ワラビーズ」の司令塔として世界を舞台に活躍したラグビーユニオン選手、クウェイド・サンティニ・クーパー氏。1988年4月5日生まれ。華麗なステップと閃きに満ちたプレーで、ラグビーファンを魅了してきました。「QC」や「Coops」といった愛称で広く知られ、スーパーラグビーのレッズや、日本の花園近鉄ライナーズでもプレーしました。同じくラグビー選手のショーン・メイトランド氏とは従兄弟にあたります。

才能が開花した若手時代

クウェイド・クーパー氏は1988年4月5日、ニュージーランド北島のトコロアで誕生しました。幼い頃からラグビーに親しみ、ニュージーランド国内のフォレスト・ビュー・ハイスクールで才能を磨きました。更なる成長を求め、2001年にはオーストラリア、クイーンズランド州のイーストブリスベンにあるアングリカン・チャーチ・グラマースクールへと転校します。この移籍が、彼のキャリアにおいて重要な転機となりました。オーストラリアでの高校生活を通じて、そのスキルは飛躍的に向上し、国内トップレベルの若手選手としての評価を確立します。特に注目すべきは、2005年と2006年の2年連続でラグビーオーストラリア高校代表「School Boys」に選出されたことです。高校代表としてのキャップ数（試合出場数）は歴代最多タイ記録であり、彼の高校生当時からの抜きん出た才能を物語っています。

プロ契約と代表の舞台へ

高校卒業後、クーパー氏はプロのキャリアへと歩みを進めます。2007年には19歳以下代表に選出され、その年の国際大会終了後、当時のスーパー14（現在のスーパーラグビー）に参戦するレッズと契約を結びました。スーパー14での公式デビューを飾る前に、彼は一足早く国際的な舞台を経験しています。2006年11月10日に行われたレッズ対ラグビー日本代表戦にレッズの一員として出場しており、これが彼にとって初めての日本ラグビーとの関わりとなりました。

そして、2008年。クウェイド・クーパー氏はオーストラリア代表「ワラビーズ」のメンバーに名を連ねる栄誉を手にします。同年11月8日にイタリア代表と対戦したテストマッチで、ついにワラビーズとして念願の代表デビューを果たし、世界の強豪を相手にプレーするトップキャリアを本格的にスタートさせました。

キャリアの大きな節目と栄光

ワラビーズでの定位置確保が難しかった時期、クウェイド・クーパー氏の去就に関する憶測が飛び交います。2010年8月には、ラグビーユニオンからラグビーリーグ（NRL）への転向が噂され、2011年にはパラマタ・イールズと契約する可能性が報じられました。イールズ側から提示されたとされる3年150万ドルという条件は、大きな話題となりました。しかし、クーパー氏は最終的にラグビーユニオンでのキャリアを続けることを決断します。同年9月、オーストラリアラグビー協会との契約を1年間延長し、ワラビーズおよびレッズでのプレー継続を強く希望する意思を示しました。

この決断が、彼のキャリアにおける重要な転機となります。2010年には、その卓越した個人技とゲームコントロール能力が高く評価され、スーパー14の最優秀選手「2010 Super 14 Player of the Year Award」を受賞しました。そして翌2011年のスーパーラグビーシーズンでは、レッズの中心選手としてチームを牽引し、クラブ史上初となるスーパーラグビー優勝という歴史的な快挙達成に大きく貢献しました。この優勝は、クーパー氏のプレーヤーとしての評価を確固たるものとしました。

日本での挑戦と新たな評価

オーストラリアでの輝かしい実績を積み重ねた後、クウェイド・クーパー氏は日本のラグビーリーグへ新たな活路を見出します。2019年、彼は当時トップチャレンジリーグに所属していた近鉄ライナーズ（現在のジャパンラグビー リーグワン所属、花園近鉄ライナーズ）への加入を発表し、日本のラグビーファンを沸かせました。

日本での公式戦デビューは、2019年11月17日に開催されたトップチャレンジリーグ第1節、清水建設ブルーシャークス戦でした。この試合に先発フル出場し、日本のファンに対してもその世界レベルの技術とゲームメイキング能力を存分に披露しました。

日本でのプレーは続き、ジャパンラグビー リーグワンへの移行後も活躍を見せます。特に2022年には、DIVISION 2において「プレーヤー・オブ・ザ・シーズン」に選出されるなど、その影響力とプレーの質の高さを改めて証明しました。

しかし、2025年5月、所属していた花園近鉄ライナーズからの退団が発表され、日本での挑戦に一つの区切りをつけました。クウェイド・サンティニ・クーパー氏は、そのキャリアを通じて、生まれ故郷ニュージーランド、長年活躍したオーストラリア、そして日本と、複数の国でラグビーの歴史に足跡を残しました。その創造的なプレーと個性は、多くの人々の記憶に残るでしょう。

受賞歴

2010 Super 14 Player of the Year Award
2022 プレーヤー・オブ・ザ・シーズン (ジャパンラグビー リーグワン DIVISION 2)

もう一度検索