クエバ・デ・ラス・マノス

クエバ・デ・ラス・マノス（ラス・マノス洞窟）

クエバ・デ・ラス・マノス（Cueva de las Manos）、別名ラス・マノス洞窟は、アルゼンチンのサンタ・クルス州に位置する洞窟です。その名の通り、「手の洞窟」を意味し、内部には無数の手の跡が残された壁画が描かれています。

位置と環境

洞窟は、サンタ・クルス州のペリート・モレーノから南へ約163kmの地点に位置し、ペリート・モレーノ国立公園の境界線上にあります。パタゴニア地方の孤立した景観の中にあり、最寄りの国道40号線からは約100km離れています。洞窟はピントゥーラス川渓谷に位置し、周囲は豊かな自然に囲まれています。

壁画

洞窟内の壁画は、テウェルチェ族の祖先にあたる先住民族によって、約9000年前から描かれたと考えられています。これらの壁画には、手形を中心に、人、グアナコ、レア、ネコ科の動物など、様々なモチーフが描かれています。また、幾何学的な模様やジグザグの線刻、太陽を表すと思われる絵、狩りの様子なども見られます。

手形

最も特徴的なのは、無数の手形です。その多くはネガティブな手形であり、壁に手を当ててその周囲に塗料を吹き付けることで、手形を浮かび上がらせています。使用された塗料は、ヘマタイト（赤）、カオリン石（白）、ソーダ鉄明礬石（黄）、二酸化マンガン（黒）など、様々な鉱物から採取された顔料が用いられています。手形の年代は、紀元前550年頃から紀元前180年以降と推定されています。

興味深いことに、手形のほとんどが左手です。これは、絵を描く際に使用したパイプを利き手である右手で持っていたためと考えられています。手形のサイズから、描いたのは13歳くらいの少年である可能性も指摘されていますが、当時の人々が現代人よりも小柄であったことを考慮すると、もう少し上の年齢であった可能性もあります。そのため、手形を印す行為は、聖地である洞窟における成人通過儀礼であったと考えられています。

その他の絵

手形以外にも、洞窟の天井には赤い点々が描かれています。これは、塗料をつけたボーラを打ち付けて描いたものと推測されています。また、狩りの絵は、9000年以上前のものと推定されています。

洞窟の構造

メインの洞窟の奥行きは24m、入り口の幅は15m、高さは10mです。洞窟内は上り坂になっており、奥に進むにつれて狭くなっていき、高さは2m以下になります。

世界遺産

クエバ・デ・ラス・マノスは、1999年にユネスコの世界遺産に登録されました。その登録基準は、以下の通りです。

• - (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

クエバ・デ・ラス・マノスは、先住民族の文化や生活を知る上で非常に貴重な遺跡であり、その芸術的な価値と歴史的な重要性から、世界中の人々から注目を集めています。

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