パタゴニア

パタゴニアの概要

パタゴニアは南アメリカ大陸の南端に広がる地域で、特にアルゼンチンとチリの両国によって形成されています。この地は北緯40度から南緯55度まで広がり、多様な地形や生態系を有しています。主な州としては、アルゼンチンのネウケン州、リオネグロ州、チュブ州、サンタクルス州、ティエラ・デル・フエゴ州があり、チリではアイセン州とマガジャネス・イ・デ・ラ・アンタルティカ・チレーナ州が含まれます。

この地域は特にブルース・チャトウィンの小説『パタゴニア』によって世界的に知られるようになりました。彼の作品は、この土地の風景や文化を探求する重要な紀行文として位置付けられています。

地名の由来

「パタゴニア」という名前は、1520年にフェルディナンド・マゼランによって名付けられました。彼はこの地域の先住民を見て「パタゴン」と呼びました。「パタ」はスペイン語で「足」を意味しますが、「ゴン」の意味は不明です。この地名は、特にパタゴン族が大きな足を持っていることに由来すると考えられています。ただし、彼らが履いていたグアナコの毛皮製のブーツによって足が大きく見えただけだという説もあります。

気候

パタゴニアの気候は厳しい条件が特徴です。年間を通して低温で、特に強い風が吹き荒れます。この風は最大で秒速60メートルを超えることもあり、風速25メートルを超えると人は風に向かって歩くことが困難になります。イギリスの探検家エリック・シプトンはこの地を「嵐の大地」と称しました。北西からの偏西風はアンデス山脈に到達し、チリ側は相対的に湿潤ですが、アルゼンチン側は乾燥して半砂漠化しています。

地形

パタゴニアの地形は、アンデス山脈によって大きく境界づけられています。チリ側は氷河によって形成されたフィヨルドが広がっており、アルゼンチン側の北部は草原が広がります。南部は乾燥したパタゴニア砂漠が特徴で、氷河はこの地域の象徴的存在です。南パタゴニア氷原には50以上の氷河が存在し、南極やグリーンランドに次ぐ規模を誇ります。また、これらの氷河は非常に速い移動速度で知られ、年間100から200メートルも移動することが一般的です。特にペリト・モレノ氷河はその崩落現象が観察しやすく、多くの観光客が訪れる名所となっています。

主な国立公園

パタゴニアには多くの国立公園が広がっており、アルゼンチンとチリそれぞれに約30の公園があります。アルゼンチンの著名な国立公園としてはロス・グラシアレス国立公園、ティエラ・デル・フエゴ国立公園などがあり、チリではトーレス・デル・パイネ国立公園が良く知られています。また、これらの地域には3つの世界遺産も存在し、自然環境の保護にも力が入れられています。

動植物

パタゴニアの生態系は非常に多様で、植物は北西部のアンデス山脈沿いに温帯雨林が広がる他、マゼラン亜極樹林やツンドラも見られます。さらに、この地にはたくさんの動物も生息しており、グアナコやピューマ、ミナミウミカワウソ、マゼランペンギンなどが見られます。特殊な生態系が形成され、訪れる人々に豊かな自然の魅力を伝えています。

文化と文学

パタゴニアは多くの文学作品や映画の舞台ともなっており、歴史的にも文化的にも興味深い地域です。ブルース・チャトウィンによる小説『パタゴニア』や、椎名誠の著作などがその一例です。また、リサンドロ・アロンソ監督の映画『約束の地』は、幻想的なストーリーを通じてこの地域の神秘的な魅力を描いています。

パタゴニアはその独特な自然環境、人々の文化、そして歴史的なバックグラウンドによって、多くの観光客や研究者を惹きつける魅力的な場所です。

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