クオリティ・オブ・ライフ

クオリティ・オブ・ライフ（QOL）についての考察

クオリティ・オブ・ライフ（英: quality of life、略称: QOL）とは、個々の人生の質や社会的な生活の質を表す概念です。特に、どれだけ人間らしく、または自身のライフスタイルに沿った生活を送っているか、さらにはその中で幸福を感じているかが重要な指標とされています。この考え方は、1970年代以降に特に注目されるようになり、当初は健康に関連する概念として始まりましたが、現在ではそれ以外の側面にも広がりを見せています。

興味深いことに、規律正しい生活を送る人々は長生きする傾向がありますが、その一方で規律性が低い人々に比べると生活の質が劣る場合もあります。この現象は、生活の質と生きる意義についてのさまざまな側面を考えさせる要因です。

健康関連QOLの定義

健康関連のQOL（HRQOL）は、単に健康状態ばかりでなく、身体的、精神的、社会的な満足に基づいて定義されることが多いです。1947年に世界保健機関（WHO）が出した健康憲章には、「疾病が存在しない状態だけではなく、身体的、精神的、社会的に満たされた状態」と記されています。1998年の改訂では「霊的」な側面も加えられ、この点に関しては多様な議論が展開されています。日本におけるQOLの定義としては、生活の質を自らの意思で決定し、身体的・精神的・社会的・文化的に満足できる豊かな生活を送ることとされています。

QOLの評価方法

QOLを測定する手法は、主に2つのアプローチがあります。患者への聞き取り調査によるもの、もしくは専門家が行う評価です。評価項目は、地域や文化によって異なる汎用評価法や、特定の疾患や状態に焦点を当てた疾患特異的評価法に分化します。汎用的な評価法には、WHOQOL-26、SF-36、EQ-5Dなどがあります。対して、疾患特異的な評価法には、EORTC QLQ-C30や、腎臓病のQOLを測定するKDQOL-SFなどが存在します。

医療とQOLの関係

疾患は医学によって定義される一方で、障害や合併症が生活に与える影響は必ずしも十分に考慮されていないことが多いです。たとえば、治療行為による結果として生じる運動や視覚の障害、日常生活に影響を及ぼす症状は、しばしばQOLの低下として捉えられます。これを医療の課題として認識し、QOLを指標化することが求められています。特に、がん治療においては、生存率や病気の縮小率だけでなく、患者のQOLも重要な評価基準として位置づけられつつあります。

QOLの概念の拡張

当初は健康に関連する概念としてスタートしたQOLですが、現在では環境の整備状況や市民生活の質も評価に加えられるようになりました。国家の発展や個人の人権の保障、居住の快適さなどとの関連性も探求されています。指標として人間開発指数や世界幸福度報告が提案され、より包括的な生活の質の理解を促しています。

結論

QOLは個々の生活の質を多角的に評価する重要な指標であり、健康や環境の側面を踏まえた総合的な理解が求められます。これにより、より良い社会を目指し、個々の幸福にもつながる活用がなされることが期待されます。

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