クションシュ城

クションシュ城：歴史と謎に包まれたポーランドの至宝

クションシュ城（Zamek Książ）は、ポーランド南西部のドルヌィ・シロンスク県、ヴァウブジフ市近郊に位置する壮麗な城です。その規模はシレジア地方最大級であり、ポーランド国内でも3番目の大きさを誇ります。周囲の自然と調和した美しい景観は、多くの人々を魅了し続けています。

波乱万丈の歴史

クションシュ城は、その立地から幾度となく戦火に見舞われ、所有者も変遷を繰り返しました。その歴史は、シレジア地方の激動の歴史そのものと言えるでしょう。

初期の伝説

10世紀には、Fun­ken­steinという騎士が石炭産業を管理するための防衛施設を建設したという伝説が残されています。

建設からルクセンブルク家へ

元々この地には木造の防衛拠点がありましたが、ボヘミア王オタカル2世によって破壊されました。その後、1288年から1292年にかけて、シレジア公ボルコ1世スロヴィによって、ゴシック様式の城が建設されました。この城は、国境の監視塔として、またプラハとシレジアを結ぶ交易路を守る役割を担いました。

1368年、ボルコ2世マウィが後継者なく亡くなると、城はルクセンブルク家の手に渡り、ボヘミア王国に併合されました。

フス戦争からHohberg家へ

15世紀のフス戦争では、フス派によって部分的に破壊され、一時占領されました。その後、ハンガリー王マーチャーシュ1世の攻撃を受け、1482年に陥落。マーチャーシュ1世は、Georg von Steinを城守に据え、城を防衛拠点から居所へと改装しました。

16世紀にはHohberg家（後にHochberg家）が城を購入。以後、1941年にナチスに没収されるまで、Hohberg家が所有し、ルネサンス様式への改装などが行われました。

三十年戦争とバロック様式への変貌

17世紀の三十年戦争中には、傭兵隊長アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインが駐屯し防衛を行いましたが、新教徒勢力によって破壊と略奪を受けました。その後、フランス式庭園の再建や北棟の再建が行われました。

18世紀には、火災による被害を受けましたが、その後バロック建築への再編が行われ、バロック棟や図書館、美術品保管所などが新しく建設されました。

20世紀：ナチスの影と観光地への再生

1939年のポーランド侵攻により、城はドイツの手に渡り、Hochberg家の人間は財産を没収されました。1941年からは、ナチス・ドイツのトート機関によって、リーザ計画という巨大プロジェクトが遂行され、地下にはトンネルとシェルターが建設されました。

第二次世界大戦後、ソビエト軍が駐屯し、城は再び破壊されました。その後、石炭産業局の事務所として使用された時期を経て、1956年から自治体による保護活動が始まりました。1990年からはヴァウブジフ市の所有となり、観光地として一般公開されています。

地下の謎と観光

現在、クションシュ城は多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。特に、ナチス時代に建設された地下トンネルは、その目的や全容が未だ解明されておらず、様々な憶測を呼んでいます。埋蔵金が埋まっているという噂も、人々の興味を掻き立てています。

クションシュ城は、単なる歴史的な建造物としてだけでなく、様々な謎や伝説に彩られた魅力的な場所として、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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