クトゥーゾフ勲章

クトゥーゾフ勲章の概要

クトゥーゾフ勲章は、ロシア帝国の陸軍元帥ミハイル・クトゥーゾフにちなんで名付けられた軍事勲章です。この勲章は、第二次世界大戦中にソビエト連邦が赤軍の上級将校に授与する目的で創設され、現在はロシア連邦においてもその制度が継承されています。

歴史的背景

1942年7月29日、ソビエト連邦最高会議幹部会の決定により、クトゥーゾフ勲章が創設されました。その背景には、ドイツの軍事攻勢に対抗し、戦局を有利に進めた赤軍上級将校たちを称える意図がありました。勲章は三つの等級に分かれており、1等、2等、3等から構成されています。

初めて1等クトゥーゾフ勲章を受賞したのは、スターリングラード攻防戦での功績が認められたイヴァン・ガラニン中将です。1945年までの戦争期間中に669件の授与が行われ、特にチェリャビンスク・トラクター工場も、戦争勝利に貢献したとして勲章を受けています。また、2等および3等に関しても、それぞれ3352件、3328件が授与されており、主に軍団や師団の指揮官、連隊長などが対象となりました。

1991年にソ連が崩壊した後、1992年にはロシア連邦がクトゥーゾフ勲章を引き継ぐことを明言し、デザインや授与基準も保持されました。2010年にはさらに基準の更新が行われました。

授与基準

クトゥーゾフ勲章は主に軍の指揮官や副官に授与されるもので、以下のような成果をあげた者が対象です：

• - 敵勢力に対して巧みな指揮を行い、作戦目的を達成した者
• - 勇敢に攻撃を防ぎ、部隊の戦闘態勢を維持することに成功した者
• - 敵の攻撃を撃退し、戦略的に重要な位置を維持した者
• - 戦闘中に友好的な部隊を指導し、懸命に指揮を行った者
• - 戦略的要地の確保と敵抵抗拠点の制圧を実現した者

さらに、クトゥーゾフ勲章は外国人にも授与される場合があります。特に連合軍の将校がロシア軍と共に作戦を遂行した際にも受賞が可能です。

制作とデザイン

クトゥーゾフ勲章のデザインは、幅40mmのシルバーのクロスパティーに金色の光線が施されています。中央にはエナメル状のメダリオンがあり、クレムリンの壁を背景としたミハイル・クトゥーゾフの胸像が描かれています。また、エナメルの外側には金色の月桂樹と柏葉が施されています。この賞は左胸に佩用され、他の勲章と共にジューコフ勲章の後ろに位置します。

まとめ

クトゥーゾフ勲章は、その歴史と意義から見ると、ソビエト連邦とロシア連邦における非常に重要な軍事勲章です。将校たちの功績を讃えることで、兵士たちの士気を高める役割を果たしてきました。そのため、単なる勲章以上の意味を持っていると言えるでしょう。

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